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★「心に残る2018年度経済書ベスト3」第1位 田中秀臣『増税亡者を名指しで糺す!』(悟空出版)、 2位岩田規久男『日銀日記』(筑摩書房)第3位 野口旭『アベノミクスが変えた日本経済』(ちくま新書)第4位 井上純一『キミのお金はどこに消えるのか』(KADOKAWA)第5位 伊神満 『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』(日経BP社)第6位 金子洋一『デフレ脱却戦記2:日銀貴族を討て!編』(桜町書院)第7位 上念司『経団連と増税政治家が壊す本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)…(田中秀臣ブログより)


第1位 田中秀臣『増税亡者を名指しで糺す!』(悟空出版)
第2位 岩田規久男『日銀日記』(筑摩書房)
第3位 野口旭『アベノミクスが変えた日本経済』(ちくま新書)
第4位 井上純一『キミのお金はどこに消えるのか』(KADOKAWA)
第5位 伊神満 『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』(日経BP社)
第6位 金子洋一『デフレ脱却戦記2:日銀貴族を討て!編』(桜町書院)
第7位 上念司『経団連と増税政治家が壊す本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)
第八位 高橋洋一『未来年表 人口減少危機論のウソ』(扶桑社新書)
第九位 上念司『日本を亡ぼす岩盤規制 既得権者の正体を暴く』(飛鳥新社)
第十位 ブレイディみかこ、松尾匡 北田暁大『そろそろ左派は<経済>を語ろうーレフト3.0の政治経済学』(亜紀書房)
第11位 ケネス・シーヴ &デイヴィッド・スタサヴェージ『金持ち課税』
第12位 大竹文雄・平井啓編著『医療現場の行動経済学:すれ違う医者と患者』(東洋経済新報社)
第13位 ジャン・ティロール『良き社会のための経済学』(日本経済新聞社)
第14位 花薗誠『産業組織とビジネスの経済学』(有斐閣)
第15位 井上智洋 『AI時代の新・ベーシックインカム論』(光文社新書)
第16位 瀧澤弘和『現代経済学ーゲーム理論・行動経済学・制度論』(中公新書)
第16位 ガイ・スタンディング『ベーシックインカムへの道』(プレジデント社)
第16位 T・バトラー=ボードン『世界の経済学 50の名著』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第19位 ロバート・J・ゴードン『アメリカ経済 成長の終焉』(日経BP社)
第19位 ハル・ヴァリアン『情報経済の鉄則 ネットワーク型経済を生き抜くための戦略ガイド』(日経BP社)


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第1位 田中秀臣『増税亡者を名指しで糺す!』(悟空出版)
IMFは2018年10月、主要各国政府のバランスシートを分析する報告書を公表した。同報告書によれば、日本の財政状況は、負債と資産とを差し引きした「純資産」がほぼプラスマイナスゼロだった。つまり、「日本は財政危機」というのはフェイクニュースだったのだ!
そんな矢先、10月14日に『読売新聞』が他紙に先駆けて、「安倍首相は、消費税率を来年10月1日に現行の8%から10%へ予定通り引き上げる方針を固めた」と報じた。この背景には、米中貿易戦争長期化による世界経済の悪化を含め、増税見直しの気運が高まる前に税率アップを確定させたい財務省の動きがあったのではないか。
 財務省は、なぜそれほど増税したいのか? 安倍総理と菅官房長官以外の与党政治家はなぜ押し並べて増税派なのか? テレビ、新聞などで解説する文化人、はたまた財界人までもが消費増税を推進するのはどうしてなのか?
仕組まれた「増税包囲網」のカラクリを明らかにするとともに、財務省の走狗であるかのような増税亡者たちを名指しで糺す!


出版社からのコメント
ベストセラー『日本を亡ぼす岩盤規制』(飛鳥新社)の著者、上念司氏が本書を激賞、推薦!
「私自身がリフレ派に転向するきっかけをつくった幻の名著『エコノミスト・ミシュラン』(田中秀臣ほか共著)。かねてから続編が期待されるも、十年以上、それは果たされなかった……。本書は事実上、その続編である。
アベノミクスが始まっても、その成果を認めず、緊縮と増税を煽る増税亡者どもよ、ついに年貢の納め時だ! 」
 〈本書で著者が批判する方々(敬称略)〉
●池上彰 ●石破茂 ●小泉進次郎 ●岸田文雄 ●竹下亘(自民党前総務会長)●枝野幸男 ●中西宏明(経団連会長)●雨宮正佳(日銀副総裁)●清滝信宏(ノーベル経済学賞候補者)●金子勝 ●内田樹 ●藻谷浩介(『デフレの正体』著者)●小幡績(『リフレはヤバい』著者)●原真人(朝日新聞編集委員) ほか


◆第2位 岩田規久男『日銀日記』(筑摩書房)
2019年10月の「消費増税」とその増税への対策が話題です。その増税は、国民生活の観点からも経済学的観点からも「下策」であると筆者は述べています。
増税や引き締めた金融政策など「緊縮主義」によるマクロ経済政策が「失われた20年」を招いた(人災)と分析されています。


経済の歴史的な問題の背景や直近の話題などあり、とても勉強になります。
中でも、岩田規久男前日銀副総裁と「なぜ消費増税の悪影響が日本では強く、そして長期間にわたって残り続けるのか?」(安倍総理が同様の問いをクルーグマンにしていました)について会話し、お二人が出した答えは、悲しい事実と言えましょう(詳細は著書の第1章をご参照ください)。
特に重要だと感じたのは
“経済を積極的に回復させるには、金融政策と財政政策の両方の協調が必要である。どれか他方がダメで、他方がいいというものではない。もちろんデフレ脱却には金融政策が前提条件である。“(p.222-223)
”経済論を分類するうえでは、消費増税に対する賛否で区別するのも重要ではある。だが、それは日本がつい数年前まで本格的にはまっていた大停滞の主因を、日本経済の構造的な問題だと考えている人たちと、そうではなく金融政策の失敗(と財政政策との協調の失敗)にあると考える人たちとの区別をするほうが格段に重要である。“(p.223)
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第1章 異次元の「量的・質的金融緩和政策」の船出
第2章 想定通りに展開した「量的・質的金融緩和」最初の一年
第3章 消費税増税で壊れた「リフレ・レジーム」
第4章 「経済音痴」の民主党国会議員の対応に追われる日々
第5章 逆風に抗して、金融政策の転換
第6章 デフレ完全脱却のための「リフレ・レジーム」の再構築
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旧民主党政権までの新自由主義(緊縮路線)で失業にあふれ低迷した経済状況を改善するため、安倍首相は反緊縮のリフレ路線に舵を切った。歴史的快挙である。その中心的な施策を日銀副総裁として担った岩田氏の、実にexcitingな日記である。国内外のリフレ派の経済学者の理論や日本経済の現況への評価など、興味深い話や会話が載っている。歴史的な「実験」が行われた状況がリアルタイムで記述されている。そこには、旧日銀派の評論家や記者の妨害、国会の委員会の場での、経済音痴の民主党議員の恥知らずな嫌がらせ・妨害活動の詳細が記述されている。リフレ政策の最大の障害である「消費増税」について、緊縮の司令塔・財務省の異常なマスコミ対策や狂った論理も紹介されている。現在の日本経済をめぐる状況やマクロ経済政策の重要性を理解するために価値の高い本である。
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岩田規久男前日銀副総裁はリフレ派の旗手として、何年も前から大規模金融緩和の必要性を訴え続けていました。本書は岩田さんが副総裁に選出されてからの五年間を日記の形で振り返るという内容です。量的質的金融緩和が始まってからすぐに、従来の懲罰的な株安、円高状況が改善し、雇用の改善(就業者の増加を伴う完全失業率の低下)という形で実体経済にも良い影響を及ぼしました。2%の物価上昇率達成に向けて、最高のスタート切りましたが、その中で消費増税の議論も同時に進みます。岩田さんご本人はもちろん、本田悦郎大使や浜田宏一教授などのブレーンは消費増税の悪影響を懸念していたようですが、政治的に延期は不可能と判断し、1%ずつの増税など悪影響を最低限に抑え込むような方法をメディアなどで展開し、増税延期を提言することはありませんでした。
岩田さんは黒田総裁の「(増税延期は)どえらいリスク」発言のときに、総裁と副総裁の考え方に齟齬が生じて金融政策の運営に悪影響が出ると思われることを懸念して、黒田総裁の発言を否定するような発言をしなかったようです。
第二章から第三章は「なんとしても増税を延期させるべきだった」という後悔が端々で感じられます。財務官僚が言うような非ケインズ効果(増税によって社会保障や財政への信頼が増し、消費を増やす)は観察されるどころか、消費は大きく落ち込みました。
もちろん、順調に伸びていた物価上昇率も落ち込みました。長らく続いたデフレを脱却し、安定的に物価上昇率2%を達成するために構築したリフレレジームを、消費増税によって実際のインフレ率を下げてしまったことでそれを完全に破壊してしまったのです。この悪影響はいまだに続いており、2019年10月に控える消費増税を実行することは「どえらいリスク」だと思います。他にも岩田さんの日々の生活から、自身の金融政策の考え方までいろいろなことが日記調で書かれており、読んでいてとても面白かったです。昭和恐慌研究会のメンバー(髙橋洋一教授、飯田泰之准教授、安達誠司さん、若田部現副総裁など)が随所に登場して岩田さんと議論を交わしており、その内容が細かに書かれています。金融政策に関する部分は基本的なマクロの知識がないと、なかなか理解できない箇所も多いと思います。とくに期待インフレに関する言及が多いので、フィッシャー方程式と投資は実質利子率、貨幣需要は名目利子率に依存することくらいは頭に入れて読むことを強くお勧めします。


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第3位 野口旭『アベノミクスが変えた日本経済』(ちくま新書)
最近のマクロ経済政策をめぐる論争は、国際的にも緊縮vs反緊縮(刺激策)という構図になっていると思う。この対立点を強く意識して、野口さんの新著『アベノミクスが変えた日本経済』は、日本の現在の政策を評価する上で最も適切な枠組みを提供している。ぜひ経済問題に関心のある人や、また専門的な観点からの議論を求める人たちも手にとってほしい一冊である。


全体は5章に分かれていて、第一章ではアベノミクスの性格、特に金融政策の失敗による日本の長期デフレ=縮小均衡を打破することが、この政策の特質であることが明瞭に述べられている。その上でアベノミクスの誕生の背景、そしてその成果、背景にある政策思想が簡潔かつ明瞭に解説されている。第二章は07年以降の世界大不況に対応が遅れた日本がアベノミクスでいかにリカバリーしようとしているかが、そもそも世界大不況の背景となるサブプライム問題、リーマンショックなどの原因とそのマイナスのショックの波及過程が描かれている。ここでも世界大不況への遅れは、金融政策と財政政策の遅れという人的な要素として日本の悲劇が描かれているといえよう。また主要国が次々と非伝統的金融政策を採用していること、また第二次安倍政権の経済政策の特徴である、複数のイベントを経て実現した政策レジーム転換の過程が描かれていて、この複数のイベントを通じた政策レジーム転換の理解こそが、現在の長期デフレの終焉への『展望」をもたらし、また現在の問題を抱えながらも持続している経済好転の決定的な背景であることがわかるだろう。


第三章は異次元的金融緩和の評価である。当初のインフレ目標が二年と時期を区切ったように市場に理解されたことは、長期デフレで市場の根強いデフレ期待をやぶる上では必要だった。しかしそもそもインフレ目標は伸縮的なインフレ目標であり、外生的な要因(消費増税、中国、ギリシャ、Brexitなどの経済不安定化や、またトランプ政権への当初一年間の期待の高まりなど)によって左右されたときに、柔軟に対処するのがその政策目標のありようである、というのが野口さんの主張である。


日銀のYCC(イールドカーブコントロール)は、長期金利を操作する政策であるが、これはトランプ政権の経済政策への期待の高まりをうけて、いわば受動的な形で緩和効果を日本にもたらしたとするのが野口さんの解釈である。


「このトランプの勝利によって生み出されたマクロ政策レジームの転換は、日本の金融政策に対して、財政拡張よりもさらに強力な「二重の拡張効果」をもたらした。その第一は長期金利の上昇圧力から生じる「受動的緩和」である。そして第二は、日米間の長期金利格差拡大から生じる円安ドル高である」


第四章では、アベノミクスの雇用政策の側面が丁寧に解説されている。いまでも失業率の低下は民主党政権から始まったのでアベノミクスの成果ではない、という解釈や、また雇用の改善は人口減少のおかげという俗論がある。これに対して野口さんは本書で、生産年齢人口、労働力人口、就業者数の動向に注目することで、民主党政権のときの失業率の低下はあまりに雇用状況が大変で就職自体を諦めた人が多数であったために生じており、それが安倍政権発足から諦めていた人たちが景気改善によって就職が可能になつたことなどで失業率が低下していったことを明瞭に解説している。それはまた人口減少のトレンドが20世紀から続く中で、なぜアベノミクス以降に失業率が持続的に改善しているかの説明にもなっている。


第五章は緊縮政策と反緊縮政策という政策思想の対立を金融政策の「出口」や、また財政政策のスタンス、特に国債の償還が将来世代の負担になるという財務省的・日本の経済学者の主流にみられる緊縮主義を、本書は痛撃している。先の消費増税についての野口さんの以下の発言が本書のスタンスを明瞭にしているだろう。
「結果としては、この早まった消費税増税は、若い世代の所得獲得能力を将来にわたって阻害しただけではなく、デフレ不況の長期化による政府財政の悪化をもたらし、将来世代が負うことになる税負担をより一層増やしてしまったのである。つまり「将来世代の負担軽減」を旗印に行われた消費税増税は、皮肉にも彼ら世代に対して、所得獲得能力の毀損と税負担の増加という二重の負担を押し付けるものとなってしまつたのである」


14年の消費増税の影響はその直後の世界経済のかく乱とともにいまだ消費の押し下げをもたらしている。07年のトランプ政権の誕生は海外発の政策レジーム転換によって日本緩和効果をもたらしたが、その効果は今年に入ってかなり不安定化している。


アベノミクスが採用されてすでにこの書評を書いている段階で5年半以上が経過している。本書はその過程の中で生じた環境の変化を含めて、アベノミクスによって劇的に変化している日本経済の現状とそして今後の行方を、明瞭な論理と事実とによって明らかにした、今年出たマクロ経済政策の時論の中で最も説得力をもつ著作である。ぜひ一読されたい。
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