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★週刊文春最新号(8/30)目次「報ステ大激震 嵐<櫻井>と破局 <富川アナ>の「イビリ」 小川彩佳(33)アナが「もう限界…」」「傷心の眞子さまは親友の結婚式をご欠席、小室さんNY満喫、秋篠宮さまは最終決断」「「24時間」トライアスロン みやぞんは走って泳いで2000万円」&テレビは特定の話題に集中しすぎていないか?データで示す「集中砲火傾向」(境治)



テレビは特定の話題に集中しすぎていないか?データで示す「集中砲火傾向」
境治  | コピーライター/メディアコンサルタント 
 


特定の話題に集中するテレビに辟易



8月半ばをすぎてようやく減ったが、7月後半以来ずっとボクシング連盟の山根会長の話題でテレビが賑わっていた。告発が有り、問題もあったようなので伝えるのは当然だろうが、一時期は朝から晩まで山根会長の顔が映し出された印象で辟易した。掘れば様々な問題が出てくるうえ、山根会長のキャラクターがツッコミどころ満載なので人目を引いたせいもあるだろう。この話題を扱えば視聴率もよかったに違いない。



ただいくらなんでも、と思う。いくら視聴率が取れるからといって、こんなに朝から晩まで扱うこともないのではないか。それにどうも、このところこの「朝から晩まで同じ話題」の傾向が高まっている気がする。



例えば一時期の不倫がそうだった。私は去年、こんな記事を書いている。



私たちは「人の不倫をなじること」に侵されている~テレビは何時間不倫を報じたか


この時は、データで調べてもらうと明らかに2016年1月のベッキー騒動から格段に不倫報道が急増していた。



似た傾向が他の話題でも起きている気がする。最近では日大アメフト問題、少し前の相撲界のトラブルなどだ。この「特定の話題への集中」がここ数年顕著になっていることをデータで示せないか。



データから見えた「集中砲火」の増加傾向



そこで今回も、テレビ番組の内容をテキストデータ化するエム・データ社に依頼し、数値を出してもらった。



同社はテレビでの話題ランキングを集計している。午前10時までの情報番組とワイドショーでどの話題が何時間取り上げられたかを毎日速報しているのだ。そこでまず、そのデータを月ごとに集計してもらった。どの話題に放送が集中したか、朝の番組だけだがぱっと把握できるはずだ。



その結果がこれだ。月別のランキング1位の話題を表にしてみた。



2015年-2016年の話題ランキング


2015年-2016年の話題ランキング



普通は多くても10時間、20時間台だが時にある話題を異様に長時間とりあげることがある。そこで月40時間を超えた話題を赤く表示してみた。字が小さいので書き出しておく。



2015年


1月 イスラム国・日本人人質事件 59時間35分


9月 関東東北豪雨鬼怒川決壊   52時間11分



2016年


4月 熊本地震           105時間08分


6月 東京都・舛添要一知事辞職   55時間15分


7月 東京都知事選挙        49時間53分


9月 東京都・豊洲新市場問題    40時間33分


11月 米国大統領選挙トランプ勝利 45時間05分



いずれも”大きな話題”には違いない。豪雨や震災は長時間扱うべき話題だろう。ただ、2015年は2件だったのに対し、2016年には5件に増えた。この年から「集中砲火」的な扱い方が出てきた可能性はある。とくに舛添要一氏の政治資金の私的流用疑惑はマスコミの中で「炎上」したような取り上げられ方だった。



今度は同じく月別話題1位の2017年と2018年前半を見てもらいたい。



2017年-2018年前半の話題ランキング


2017年-2018年前半の話題ランキング



2017年は、40時間を超えた話題が一気に9件に増えた。ほとんど一年中、何かの話題に集中している状態だ。2018年も6月までですでに4件をカウントしている。これも書き出しておく。



2017年


1月 米国トランプ大統領就任     59時間35分


2月 金正男氏暗殺事件       46時間23分


3月 森友学園問題         89時間02分


4月 北朝鮮情勢・緊張高まる    52時間41分


8月 北朝鮮ミサイル・日本上空通過 50時間56分


9月 北朝鮮情勢・緊迫化      63時間42分


10月 衆議院選・自民大勝・希望惨敗 83時間47分


11月 横綱日馬富士・暴行騒動で引退 66時間06分


12月 大相撲・日馬富士暴行問題   52時間13分


2018年


2月 平昌五輪・メダル冬季五輪最多 168時間14分


3月 森友文書改ざん・安倍政権窮地 69時間01分


5月 日大アメフト部タックル問題  55時間17分


6月 サッカーW杯ロシア大会    79時間54分


注視すべき話題が多かったのもあるだろう。また今年は冬季五輪とサッカーW杯があったので特殊だったとも言える。


ただ2017年の春から夏にかけてここまで時間を割いて北朝鮮情勢を伝えるべきだったろうか。また日馬富士の暴行事件は大問題だが、2カ月に渡って取り上げるものかも疑問だ。


こうして見ていくと、災害や国際的話題が続いたにせよ、2016年の舛添要一氏の一件をきっかけに「集中砲火」が顕著になったと言えそうだ。テレビは明らかに特定の話題に集中している。その傾向が高まっている。



「集中砲火」は一日中行われているか?



さて今度は、私が感じている「一日中同じ話題ばかり扱う」印象は本当かどうか。なんとか裏付けたい。



そこでエム・データ社にさらに相談した。先のデータは午前10時までの番組のものだった。これを広げて、一日すべてのニュースや情報番組、ワイドショーで特定の話題がどれくらい取り上げられたか調べてもらった。さっきのデータの中で気になった話題がそれぞれ一日何時間扱われたかを算出し、それが対象番組の全放送時間中で何%を占めていたかを出してもらったのだ。テレビの全放送時間ではなく、ニュース・情報番組・ワイドショーの何%を費やしたかのデータであることに留意してほしい。



その結果をひとつずつ見てもらおう。


まず2016年6月の「舛添要一氏東京都知事を辞任」の時のものだ。6月7日あたりから扱う時間が増え、6月15日の辞任当日には、5割を超える時間を割く局が出てきている。扱う時間が長い番組を挙げると「ひるおび!」「ゴゴスマ!」「グッディ!」「ミヤネ屋」などが並ぶ。昼間の番組がまず出てくるのは、放送時間が長い上にどの番組も「掘り下げ型」だからだろう。


次に、2017年11月に集中した「横綱日馬富士・暴行問題で引退」のデータだ。


11月最終週を見ると、舛添氏辞任の時をさらに超えて話題が集中しているのがわかる。テレ朝・TBS・フジは毎日40%以上の時間を割いていた。また14日以降の平均値でも、この3局は3割前後を費やしている。この2週間はあきれるほど「朝から晩まで」この話題を伝えていたのだ。


最後に記憶に新しい今年5月の「日大アメフト部問題」をチェックしてみる。


22日に選手が会見を行い、23日には夜になって突然日大アメフト部の監督とコーチの会見が行われた。翌週は関東学連が裁定を出したり日大学長の文書が発表されるなど、話題は収まらなかった。この時も2週間に渡ってやはり朝から晩まで「集中砲火」が続いた。


ニュース・情報番組・ワイドショーの40%程度放送している場合、実質5~6時間の放送になる。3~4局が、毎日5~6時間も「日大アメフト部問題」について放送したのなら、本当にテレビは朝から晩まで同じ話題をやっていると言っていいだろう。私の印象は、事実そうだったのだ。



こうして見ていくと、テレビにおける話題の集中は舛添氏の都知事辞任にはじまって、いまも続いていると言える。ボクシング連盟山根会長の一件も、あとでデータを取ったらこれらに似た集中度がわかるだろう。



さてこれらのデータを私たちはどう受けとめればいいだろうか。



社会を論じる場が崩れてきている



テレビ放送は娯楽の側面がある一方で、世論形成で重要な役割を持っている。何が肯定され何が良くないとされるのか、テレビの中の論調が大きな影響を与えていると思う。ここまで見てきた話題集中の傾向は、そんな世論形成機能に悪影響をもたらしていないだろうか。



例えばITジャーナリストの佐々木俊尚氏は論壇の境界線がなくなったことを指摘する。ひと昔前はワイドショーは政治は扱わなかったしニュース番組で芸能が扱われることは少なかった。だがいまは、ワイドショーとニュースの区別が消えて、お笑い芸人が政治を語り経済評論家が不倫にコメントする。何についてどの番組で誰が言うのが信じられるのか、ぐちゃぐちゃになってしまった。



また、テレビ視聴者は高齢化しておりお年寄りは一日中テレビを見ている。そして先に見た通り昼間の情報番組が特定の話題を長々と掘り下げる。だから例えば、お年寄りは相撲界の問題点を熟知している。森友問題報道にどっぷり浸って安倍政権に批判的だが、若者はそうでもない。大きな分断化をもたらしてしまっているのではないか。



いちばん良くないのは、「集中砲火」が当たり前になり、個人を徹底的に攻撃する空気が蔓延してしまった。舛添氏は確かに印象が悪かった。日大アメフト部の内田元部長は良くない点があったのだろう。だがあそこまで時間を費やして「攻撃」するべき存在だっただろうか。舛添氏も内田氏も犯罪者ではないのだ。私的処刑すれすれのことを、テレビが、そしてそれを見る視聴者がやってしまっている気がする。



多様性を放棄したテレビ



この傾向でもっとも打撃を受けているのは、他ならぬテレビ局ではないかと私は思う。テレビはその昔、すべての入口だった。映画も科学も海外のことも、すべて最初にテレビで興味を持った。だがいまテレビはそんな多様性を忘れ、叩くべき対象を探していつもイライラしているだけの、ささくれだった存在に陥っているのではないか。



日大アメフト部の話題を取り上げると視聴率が上がるのだから、視聴者の要望に添っているのだ。そんな反論も聞こえてきそうだ。だが20%30%を取るならともかく、7%を8%にするために誰かを攻撃する時、もっと多くの人びとが辟易してそうだ。1%視聴率が上がったことで、それよりずっと多くの数字を失っているのかもしれない。私もそのひとりだ。山根会長の顔が出てくるとチャンネルを変えている。場合によってはテレビを消してしまう。



メディア環境が激変し、明らかにテレビはパラダイムシフトすべき過渡期を迎えた。10年後の姿をイメージして新しい道を見出さないと、しまいにはどんなに集中砲火を浴びせても誰も関心を払わない寂しいメディアになるかもしれない。その可能性はどんどん高まっていると私は思う。








◆週刊文春2018年8月30日号


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ツチヤの口車   土屋賢二


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川柳のらりくらり   柳家喬太郎


言霊USA   町山智浩


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0(ゼロ)から学ぶ「日本史」講義   出口治明


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