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★財務省は本気で「デフレ脱却前の消費税10%」が自分たちの仕事だと思っているのか?(倉山満 日刊SPA)&テレ朝報道ステーションがトランプ大統領の言葉をすり替えて報道(netgeek)&「高知県立大学蔵書の処分は適切だったのではないか」との見方(閻魔堂NOTE)





【凋落した財務省に踊らされたのは、劣化したメディアの方だ】


 日本のマスメディアは、おバカの見本市か? そこまでこき下ろすと悪いと言うなら、日本のメディアのどこにジャーナリズムがあるのか? お答え願おう。


  今回の財務省人事は、史上最激戦と化した。そして結局、かねてより大本命中の大本命と目された岡本薫明主計局長が事務次官に昇格した。


  次官候補に挙がった名前は、計5人。前身の大蔵省では10年先の人事まで決めていたらしいが、そんな最強官庁の面影はないかのように見える。凋落の財務省……多くのメディアが書き立てた。しかし、その凋落した財務省に踊らされたのは、劣化したメディアの方だった。財務次官人事でこれほど観測記事と誤報が飛び交ったのも、史上初なのだから。


  この間、いったい何が起きていたのか?


  事の発端は、モリカケ騒動である。財務省近畿財務局が国有地の払い下げに関して不正を働いたとの疑惑から、財務省理財局による公文書書き換えが問題となった。結果、当時の理財局長で現職国税庁長官の佐川宣寿が辞職に追いこまれた。


  さらに、現職事務次官の福田淳一もセクハラ疑惑で辞任。事務次官と国税庁長官のトップ人事が不在となり、財務省は異常事態となった。表向きは。


  財務事務次官は、主計局長から昇格するのが大蔵省以来の慣習法である。ダグラス・マッカーサーの圧力で次官の座を逃した福田赳夫などは、「あの人は主計局長をやったのに事務次官になれなかった。せめて総理大臣にはしてあげなければ」と同情され、その通りになった。財務省とは、そういう組織なのである。


  福田辞任で、本来ならば即座に岡本主計局長が昇格してもおかしくなかった。しかし、岡本氏は公文書書き換えの際、文書管理を担当する官房長だった。国会の証人喚問で佐川氏は「理財局だけでやった」と言い張ったが、誰が信じるのか。


  財務省は、岡本氏は関与していなかったが、管理責任はあるとして文書厳重注意処分とした。そして、モリカケ騒動の嵐がすぎるまで「温存」して、次官昇格を1年見送る方向だとの観測に基づき、多くの誤報が飛び交った。どれほどのメディアが間違いを犯したか。新聞では産経・読売・朝日・毎日・日経・東京、通信社は時事と共同、つまり全滅である。誤報を飛ばしたメディアは、政治に振り回されたからだ。


  麻生太郎財務大臣は腹心の浅川雅嗣財務官を据えようとし、それを阻止しようとした首相官邸は星野次彦主税局長を持ち上げて対抗する。結果、両氏のスキャンダルが飛び交って痛み分け、一周回って大本命の岡本氏が次官を射止めた。「浅川」「星野」といった名前を挙げたのは、特定の取材源に頼り切っていたからだ(それを堂々と、「麻生を信じた」と言い訳としてあげる日経新聞は如何なものかと思うが)。


  記者会見で麻生氏は、人事は「自分が決めた」と声を荒らげたが、本当に意のままになったのなら、もっとうれしげな態度をとるだろう。わかりやすい御仁だ。結局、この人も「守護神」と持ち上げられてはいるが、財務省にいいように使われているだけなのである。そして首相官邸も、財務省のシナリオから一歩も出られなかった。




  最も早く「岡本次官」を報じたマスメディアはNHKだった。さすがである。もう一つ。手前味噌だが、不肖倉山が主宰するインターネット番組の「チャンネルくらら」で、ジャーナリストの山村明義氏だけは「財務省の本音は岡本だ」と言い続けた。別に予想が当たったのだと自慢する気はない。


  私はデビュー2作目が『財務省の近現代史』であり、財務省について語ってきた。もう6年になる。時に激励し、時に批判しながら。財務省を語ることこそ、天下国家を論じることに他ならないと信じているからだ。


  財務事務次官人事が、これほどメディアで報道されたのも史上初だ。しかし、その意味がどれほど伝わっただろうか。日本の運命が決まるということなのだが。


  岡本次官は就任の会見で、来年10月の消費増税10%を明言した。安倍首相も既に閣議決定している。デフレ脱却前の消費増税など、8%実施の時に懲りているはずだが、どうもそうなっていない。このままでは、日本経済の破滅は必定である。



  だが、希望はある。岡本次官の後任主計局長は、昭和58年同期入省の太田充氏となった。通常、事務次官は同期から1人である。大物次官は2年務めるが、その場合は次官を出せない期が出る。既に59年組は次官を出せないことは決まったが、岡本氏が2年やると、太田次官(これは確定)と合わせて58年組が3年務めることとなる。


  来年の人事は6~7月。7月は参議院選挙があり、10月の増税前の大決戦だ。その時の財務次官が太田なら恐るるに足らず。岡本でも、切り死に覚悟で戦うしかない。


  まず手始めは、今年秋に安倍首相の続投が予想される自民党総裁選の後の臨時国会だ。野党とメディアは既に1年半以上も「モリカケ」を騒ぎ続けているが、これこそ増税阻止の第一歩だ。


  野党が岡本次官の任命責任を安倍首相に追及する。「公文書書き換えを知っていたなら犯罪者、知らなければ無能者だ。いずれか?」と。どうせ、こんな質問はできまい。何かの一つ覚えでモリカケを追及するだろう。その時、自民党がヤジればいい。「岡本が怖いか?」と。岡本次官は自分の名前が出るのを恐れ、「ステルス」を決め込んでいただろう。国会で自分がさらし者になるくらいなら、野党を黙らせてくれるかもしれない。まずは敵の力を削ぐことだ。


  ところで、財務省の職員は、本気で「デフレ脱却前の増税」が自分たちの仕事だと思っているのだろうか。


  本来の大蔵省は、国民を富ませ、国を守るのが仕事である。戦前、大蔵大臣を7度も務め、「不況乗り切りの達人」と言われた高橋是清は、「富国裕民」と称した。今でこそ「増税省」などと揶揄されているが、本来の恒久増税は戦争と同じくらいの大事件なのだ。何より、増税は経済成長との両にらみでなければ、肝心の税収が増えない。


財務省が国民と乖離するのは不幸だ。本来の大蔵省の姿に戻ることが、岡本次官の真の使命だ。