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★セクハラ問題で避けられない財務省弱体化は日本の「好機」だ(高橋洋一、ダイヤモンド・オンライン)、財務省改革なら独立した歳入庁創設が必要。財務省は財政危機を強調し財政再建の必要性をいうが、増税&歳出カットは間違った政策。(若干書き起こしメモ)

◆セクハラ問題で避けられない財務省弱体化は日本の「好機」だ
5/2(水) 6:00配信 ダイヤモンド・オンライン



 「セクハラ問題」で、財務省の福田事務次官が18日、辞任した。この問題ではエリート官僚のモラルの低下だけでなく、さまざまな問題を露呈させた。強大な権限を持つ財務省の弱体化は避けられないが、そのことは悪いことではない。


● 財務省の危機管理能力の稚拙 調査は「第三者」が鉄則
  まずは、辞任までの経緯を時系列で整理しよう。
  発端は、4月12日(木)の週刊新潮による「「財務事務次官」のセクハラ音源」だ」の記事だ。
  続報として、4月13日(金)に、デイリー新潮による「「財務省トップ」福田淳一事務次官のセクハラ音源公開!」がある。
  これに対し、4月16日(月)に、財務省は「事実無根」と反論した。これは、財務省のホームページに掲載されている。
 その中で、財務省は、財務省の記者クラブ(財研)の加盟各社に対して、各社内の女性記者に、セクハラ被害の調査に応じてもらいたいと依頼した。調査は財務省が委託した法律事務所で行われ、その期日は4月25日までとした。


  そうした中、4月18日(水)には福田次官が身の潔白を明らかにしたいとしながら辞任を表明した。
  その日の夜中、今度は、テレビ朝日から、自社社員が当事者であるとの発表があった。
  この一連の流れの中で、財務省の危機管理としてはかなりへぼなことをしたというのが、筆者の率直な考えだ。
  セクハラについての一般的な対応は、まず調査することだが、それはできる限り第三者にしなければいけない。だが財務省が委託した法律事務所は、財務省の顧問弁護士の事務所なので第三者ではない。
  この点で、財務省は手続きミスをしている。調査を委託するなら、内閣人事局などの第三者にすべきだった。
  福田次官も、週刊誌報道後の13日(金)に、裁判で争いたいがそれでは事務に支障が出るという理由で、辞職を言うべきだった。
  これは、「金月処理」と言い、金曜日に発表してその後の対応は、休日をはさんで翌週の月曜日にするという迅速処理の危機対応の初歩でもある。そうすれば、結果として今の状態より良かったはずだ。
  しかも18日(水)の辞任表明は、日米首脳会談とぶつかり、最悪のタイミングだった。
  官邸にとっては、首脳会談が大々的に報じられることを期待していたのに、メディアでは、「次官辞任」が日米首脳会談より上位に扱われて、最悪の展開だっただろう。
  それを恐れて官邸からはその前に辞任するように働きかけがあったようだが、財務省はそれに応じなかったようだ。結果として、財務省は27日(金)、福田前次官について女性記者へのセクハラ行為を認めて、6ヵ月の減給20%の懲戒処分に相当すると発表した。財務省としては、後手に後手にまわり、情けなかった。


● メディア側にも問題 まずは自社で報道すべき
 福田氏の行為はあまりに下品で論評したくない。そもそも脇が甘過ぎる。
  ただ一方で、被害者とされる女性記者は別としても、テレビ朝日の対応は不可解だ。
どうも1年以上にわたり、相当な回数の取材が福田氏に対して行われたようだ。この間、セクハラがあったのなら、テレビ朝日は、自社で報道するチャンスがあったはずだ。女性記者が特定され二次被害を恐れたというが、この言い訳はきかない。
  そもそも、財務省の記者クラブで女性記者といえば、ほぼ特定されてしまう。筆者ですら、テレビ朝日の会見前に知っていたくらいだ。そうであれば、テレビ朝日は自社で報道すべきだった。
  週刊新潮に持ち込んだのは女性記者とされるが、誰の発案なのかはわからない。
  メディアでは、ニュースを他社へ持ち込んだ例ではこれまでは退職処分になったと聞いた。それが本当なら、今回は公益通報だと説明しているテレビ朝日は「ダブルスタンダード」ではないのか、気になるところだ。
  また発表の状況も不可解だ。
  テレビ朝日の記者会見は、参加メンバーを限定していたようだし、時間も限っていた。しかも、会見の模様をテレビ朝日が自社で放送すればいいのにやらなかった。
  記者会見で、テレビ朝日報道局長は、女性記者は福田氏に複数回取材したと言ったが、マスコミなら、具体的に何回なのか聞くだろうと思ったが、そうした質問はなく、仲間同士の馴れ合いの記者会見のように筆者には思えた。
  筆者は、メディア内だけでなく、財務省と記者クラブの馴れ合いの関係が今回の事件の背後にあると睨んでいる。
  福田氏は、名誉毀損で訴訟すると言っている。おそらく裁判では隠し録音が不正な取材方法だと主張するだろう。
  ホリエモンがツイッターで暴露しているが、マスコミはしばしばそうした方法を使っているのは事実だ。
  筆者は、福田氏が行う予定だという訴訟にある意味で期待している。というのは、これが財務省と記者クラブの関係を見直す契機になるかもしれないからだ。
  財務省からの記者クラブへの要請に対して、記者クラブは反発したが、それでもその抗議から離脱した新聞社もあると聞いた。財務省との関係が悪化すると、まずいと考えている社があるということではないか。
  福田氏はセクハラに当たるかどうか、全体を見てほしいといっている。テレビ朝日は、かなり回数の取材をしているわけだから、裁判に先んじて、取材音源をすべて公開してはどうか。
どうせ裁判で要求されるはずだから、報道機関として全部を公開するほうがいいだろう。それによって、取材方法が適正かどうかがわかるはずだ。それとも、録音のすべてが公開されることによって、財務省と記者クラブの関係が露見するかどうかも興味深いところだ。


● 権限の大きさが 官僚を誤らせる
 それにしても、財務省も情けない。
  先月、森友学園への国有地払い下げに関する公文書改ざん問題で国税庁長官を辞任した佐川宣寿氏も、今回の福田氏も昭和57年入省組の財務省キャリアだ。同期のナンバー1と2が同時に辞任とはただ事ではない。
  この期はかつての「ノーパンしゃぶしゃぶ事件(接待汚職)」の時に、一人が逮捕され、一人が辞職している。この事件の前には一人が自殺し、一人が病死している。こうしたことから「呪われた期」とも言われている。
  これについて、筆者はマスコミから取材されることが多いが、マスコミは渡辺美智雄財務相(当時は蔵相)時代に非東大を採用したために「呪われた期」になったのでは、という聞き方をする。
  だが渡辺財務相時代とそれ以外の大臣の時を比較しても、渡辺財務相時代が特に変わった採用でもない。
  渡辺財務相が、キャリア採用に影響を及ぼし得るのは56-58年組だが、この期間のキャリアの出身大学を見ると、東大64、非東大12。渡辺財務相時代の前の3年の53-55年組では東大64、非東大10。後の3年の59-61年組では東大65、非東大11。このように、東大出身者の比率が多いのは変わりない。
  57年組で問題になった人が比較的多いのは事実だが、みんな東大出身であり、渡辺財務相が多少、非東大の採用を増やしたとしても、大勢には影響なかったのだろう。
  単なる巡り合わせだろうが、ただ入省年次にかかわらず、財務省の絶大な権限が入省当時は善良だった若い官僚をおかしくしてしまっているようにも思える。
  財務省で仕事をすると、政治家に限らずほとんど人からちやほやされる。筆者が入省時には、「多くの人が君に頭を下げるが、君本人にではなく君の地位・座席に頭を下げるのだ」と、先輩から言われたものだ。
  ただ、財務省の権限はあまりに大き過ぎる。金融危機や接待汚職問題の後、金融行政を分離されたが、問題は徴税権を持つ国税庁を“植民地化”していることだ。
このことで財務省に文句を言いにくくなっている状況があるなら問題で、今後、財務省改革が検討されるとしたら、特に、独立した歳入庁創設が必要だ。


● 財務省弱体化は好機 緊縮財政が変わる可能性
  ただ財務省を弱体化させることは日本の好機になる可能性もある。
  財務省はこれまで財政危機を強調し、そのため財政再建が必要と言ってきた。一方、今回の財務省不祥事でわかったことは、決裁文書の改ざんを行い、国会で嘘とも言える答弁をし、セクハラ疑惑では、危機管理対応の観点から見てもかなり杜撰な対応しかできなかったことだ。
  真実を語っているとは思えないことでは、これまでの財政危機の説明と似ている。
  筆者は過去、本コラムで財政はネット債務残高で見るべしと書いてきたので、本コラムの読者であれば周知のことだろう。
  財政についてもこれまでの説明が嘘だったのではないかという疑念が強まれば、財政出動に対するマスコミや国民の呪縛も解けるのではないか。その結果、緊縮財政政策(増税、歳出カット)という間違った政策が正されれば、日本経済にプラスである。
  福田次官は、辞任の記者会見の際でも、消費増税や財政再建堅持を主張していた。財務省が信頼を失ったので来年の消費増税や財政再建路線に影響が出るのでは、という問いかけに対して、財務省は財政の管理人でしかない、管理人の不祥事があるからといって、財政問題に結びつけた議論はしないでほしいと言っていた。
  しかし、管理人が財政危機であることを過度に煽るような情報を流していれば、「善良な管理人」とは言えず問題だ。
  今回の財務省不祥事が契機になって、経済を痛めるような緊縮財政策がなくなれば、日本経済にとっての好機となり、災い転じて福となるだろう。
  (嘉悦大学教授 高橋洋一)