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プライムニュース2017年6月アメリカ「『イスラム国』掃討へ バグダディ殺害の真偽」「 日欧EPA交渉大詰め 米国を動かす通商戦略」(若干書き起こしメモ)


2017年6月22日(木)
 『イスラム国』掃討へ バグダディ殺害の真偽
ゲスト
佐々木良昭21世紀研究所アナリスト

板橋功公共政策調査会研究センター長
黒井文太郎軍事ジャーナリスト 
『イスラム国』とテロ拡散 『首都』奪還作戦の行方
 
秋元キャスター「過激派組織イスラム国の掃討作戦が正念場を迎える中で、イギリスやフランスでは、イスラム国に同調したと見られるテロが相次いでいます。一方で、サウジアラビアなど9か国がカタールとの国境を断絶するなど中東情勢は混沌としています。現在イスラム社会で何が起きているのか、今夜は中東情勢研究のスペシャリストと対テロリズムの専門家をゲストに迎えて、じっくりと検証します。イスラム社会で何が起こっているのか、その主なポイント、3つです。まずはイスラム国の窮地について、テロの拡散について、さらにサウジアラビアなど9か国がカタールと国交断絶したということについて。この背景とか、影響についてそれぞれ順番に聞いていきたいと思うのですが。まずはイスラム国をめぐる情勢について聞いていきます。一時期、イラクとシリアの国境をまたいで、広大な範囲を支配下に置いた過激派組織イスラム国ですけれども、この図の赤で示されているのが、2017年6月21日時点でのイスラム国の支配地域です。昨年10月から最大拠点としていたモスルで、イラク軍による奪還作戦が開始され、周辺地域は既に陥落し、残るモスル中心部の戦いも最終局面に入ったと伝えられています。また、今月の6日からは、イスラム国が首都と位置づけていますラッカで、アメリカなど有志連合が支援するシリア民主軍による奪還作戦が始まっています。まず黒井さん、ラッカとか、モスルの奪還作戦、どういう状況なのでしょうか?」黒井氏「こちらに新しいフリップをつくったのですけれども、左側がIS、イスラム国が急速に勢力を伸ばした2014年の12月段階ですね。その右側が現在ということですけれど。かつてイラクとシリアの両国のだいたい3分の1ずつ押さえていたのですが、それが一気に攻められていまして現在、モスルとラッカというのが2つ、両サイドの首都扱いだったのですが、特にモスルの側はその周辺地域も奪還されまして、モスルは大きな町ですから、その中に戦闘員が数百人、立て籠っているという状況で、現在最終的な奪還作戦が行われていると。もう少し難航する可能性がありますけれど、最終段階にきているということですね。シリアの方は特にその上の方ですけれども、民主軍、シリア民主軍と言いますが、要は、主力はクルド人部隊です、クルド人部隊がシリアの東北地方をかなり取り戻して、こちらの方もモスルの攻略戦が行われているという状況になっています」反町キャスター「バクダディ、ISの最高指導者ですね。ロシアの国防省は16日、『5月28日の空爆でイスラム国の最高指導者バクダディ容疑者を殺害した可能性がある』と。黒井さん、国防省の発表で殺害した可能性があるという表現でとどまっているのですけれど、これはどう見たらいいのですか?」黒井氏「要するに、未確認情報でロシアの発表ですから、僕自身は経験則からほとんど信用していないですね。特に、彼らはラッカで爆破、殺害したと言っていますけれども、ほとんどのIS、イスラム国の幹部はもうラッカを逃げ出して、本日、今日もナンバー2、3格の幹部が殺害されているのですけれども、ほとんど、地図で言うと、イスラム国支配、イラクとシリアの国境エリアのちょっとシリアサイド、もう少し下の方ですけれども、川沿いです、そのあたりに逃げている。そのあたりに集結し、主力もそちらに行っていますので、だいたい幹部はほとんどそちらに行っているということなので。いろいろ内部からの情報を見ていても、バクダディが死んだという話はあくまでも未確認情報、この人は何回もそういう情報流れているので、そのうちの1つだろうなと思いますね」反町キャスター「佐々木さん、いかがですか?バグダディ殺害情報について」佐々木氏「いや、ラブロフさんが最初、やったようだと言っていたのが、最近、確認がとれていないと言ったんですね。と言うことは、7割違うのではないかという気がしますね」



掃討作戦の『大義』と『思惑』
 
秋元キャスター「過激派組織イスラム国に対する攻撃には、さまざまな国がさまざまな形で関わっているわけですが、イスラム国を攻撃する各国の思惑、どう見ていますか?」佐々木氏「イラクからいきましょう。イラクはイスラム国に支配されたから、当然やりますよね。シリアも同じです。シリアの民主軍というのはクルドですよ、はっきり言うと。クルドはイスラム国をぶっ飛ばしてやれば、シリアの北部が自治区になれるという。それから、シリアの政府軍は当然脅威ですからやるし、ロシアはタルトゥースという海軍基地があるから、当然、シリアの政府軍をサポートします。イランはと言うと、シリアを散々殺しているわけですよ、イスラム国家は。だから、当然、敵だし、同時にシリアのアサド体制とは一衣帯水の関係です、同じシリア同士であるということで。トルコはと言うと、イスラム国は敵であると、本当のところはそうではないのだけれども、表向きそうせざるを得ないという立場だと思います」反町キャスター「それは各国がイスラム国を叩くことによって何らかの利益を得ているという見方でいいのですか?」佐々木氏「利益が当然あるからです。それで、イラクはやっつけてしまえば、これでISはがんばらなくていいわけで。シリアは当然のことながらそうだし。だから、イランも、ここでシリア政府を倒すわけにはいかないというのがあるから、皆、自分の国の利益のためですよ。ところが、トルコの場合は例外的に、これまでカタール、サウジからくる金だとか、武器だとか、あるいは外国から戦闘員を全部、要するに、黙認して、パスして送っていたんです」反町キャスター「イスラム国に?」佐々木氏「イスラム国に。トルコとイスラム国との関係は、非常に深いし、エルドアン大統領の息子のビラールというのはイスラム国がシリアとか、イラクで掘った、いわゆる盗掘石油を売払って金儲けして、という経緯があります」反町キャスター「この中で各国、トルコ以外の国々はそれぞれ…」佐々木氏「国家的…」反町キャスター「一時、軍事的に占領されていたし、軍事的に脅威もあるし、イランの場合に関しては宗教的な背景もあってとにかくイスラム国を叩くべしということなのですけれど。トルコだけはある意味、経済的な結びつきもあって、イスラム国の傷病兵のケアも含めて、兵隊の供給ルートも含めてね…」佐々木氏「そうです」反町キャスター「イスラム国を応援しながら、世間体のために攻撃しているみたいな?」佐々木氏「もう1つは、つまり、シリアの内部にクルドの自治区ができあがるとトルコの東、5分の1がクルドです。そうすると、このクルドをぶっ叩くためには、イスラム国家をサポートした方がいいと、敵の敵は味方みたいなね。だから、そういう実質的な利害もあるんです」反町キャスター「なるほど。黒井さん、ロシア、アメリカも含めて、これだけの国が、それぞれの思惑を持って、イスラム国という、いわば地域に対して軍事介入している時にね。この間あったことは、シリア政府軍の空軍機をアメリカ軍が撃墜したと言うんですよね、確か?」黒井氏「はい」反町キャスター「だから、この図で言うと、ロシアのバックアップを受けているシリア政府軍の空軍機を、シリア民主軍をバックアップしているアメリカ軍が撃墜した。これはどう見たらいいのですか?」黒井氏「結局、ロシアから政府軍に来ている矢印がありますけれども、そこから赤いのがイスラム国に行っていますが、非常に細い線で実際はシリアの反体制派、民主軍も含めてですけれども、そちらのもっと別の方向にしているんですね、ロシアと政府軍」反町キャスター「シリア政府軍と民主軍が内戦していると思った方がいい?」黒井氏「要は…」反町キャスター「矢印は横を向いているんだよと、イスラム国には向いてない?」黒井氏「そうですね。クルド人とシリア反体制派も、ちょっと微妙なところがあって、アメリカともちょっと複雑な関係なのですけれども。現在は、イスラム国を倒したあとに、アサド政権とシリア民主軍とどちらが入っていこうかという競争になっているんですよ、追い出したあとに。シリア民主軍の方に実際もうアメリカは特殊部隊、地上軍まで入れて、支援して入ってきているのですけれども、それに対して、アサド軍が攻撃をかけたということで、アメリカはシリア民主軍と同盟関係にありますから、そこに攻撃するものは許さんということで、何人たろうとも許さないということで今回の撃墜が起こった」反町キャスター「シリア政府軍機のアメリカによる撃墜というのをロシアはどう見る?」黒井氏「ですから、ロシアは言っていますけど、ユーフラテス川から西側で飛ぶ飛行機、有志連合も含めて、アメリカ軍も含めて、どんな飛行体でも撃墜するかもねと。するとは断言していないのですけれども、かもね、というようなことを言っています」反町キャスター「それは、そちらがその気だったら、こちらもやるぞと…」黒井氏「そうです、はい。実際はアメリカ軍とロシア軍が直接やり合うということは、おそらくないですけれども、かなり強い言葉では言っていますよね」反町キャスター「佐々木さん、シリアにおけるロシアとアメリカ、今のところ、まだ、代理同士のぶつかり合い、緊張感みたいな感じだと思うのですけれど。アメリカとロシアがシリアという場所において直接、緊張感を持って向き合う可能性というのはあると思いますか?」佐々木氏「常識的に考えればないでしょうね。ただ、突発が、小さな火が起こった場合に、それが大きくなる危険性というのはあるでしょうね。アメリカの研究者の相当部分は、これは第3次世界大戦を、アメリカのトランプ大統領は希望していて、一生懸命それを煽っているのだという言い方をしています。ヨーロッパの学者にも同じような意見を持っているのがいる。実際ロシアとアメリカがそこで戦争、第3次世界大戦を始めるかと言ったら、大きなクエスチョンマークですけれど。ただ、そういう懸念も忘れてはダメだと思います」



『負の連鎖』の正体は?
 
秋元キャスター「イスラム国が犯行声明を出した、最近のテロをまとめました。4月以降のもの、このようになっています。黒井さん、これらのテロ、イスラム国はどこまで関与しているというふうにご覧になりますか?」黒井氏「中東とか、アジア、それから、アフリカ、そういったところはイスラム国本体もしくはそれにシンパシーを持っている地元の過激派組織が関与しているケースが圧倒的に多いですね。それと、また、欧州とかのケースはちょっとまた違っていて。欧州、ヨーロッパで起こっていることは両方あるのですけれども、パリの同時テロとか、彼らの残党がブリュッセルをやりましたけれども、ああいったものはISの中枢部から送り込まれた工作員なのですが、多くはISと直接の関係がない人の方が多いです。ただ、本人達がそういうシンパシーを持ってやる。ただ、ちょっとグレーの部分というのも結構あって、たとえば、イギリスのコンサート会場での自爆というのは、これは、リビア系のISに近いグループのネットワークの末端メンバーですね。ファミリーで、ある種のファミリービジネスとして、テロをやったのですけれども。それから、その後、ロンドンでの暴走・刺殺に関しては、イギリスに古くからあるイスラム過激派の勧誘組織、イスラム4UKとか、ムハージルーンとか、いろいろ名前があるのですけれども、そこの連なるメンバーがやっているので、ISとはまったく関係がないわけではないですね。ですから、そういったこともありますし、そうかと言って、それよりちょっと前に、今年の1月でしたか、またロンドンの方で刺殺して、車で突っ込んだ事件がありましたけれども、それも完全に個人がやったものであり、あとフランスでも、ちょっと前にもニースの花火大会に突っ込んだとか、ああいうのですね、そういったある種の自殺志願者みたいな人達が急速にイスラム化して、本人達の信奉的な思い込みでやるというテロが非常に増えていますね。それに対して…」反町キャスター「自殺志願者とイスラム過激派のつなげるものというのは何ですか?」黒井氏「自殺志願者というのは1つの例であって、それに限らないですけれども、ある種の思い込みの人だったりとか、昔からよくあるカルト的な人だったりとか、いろいろとあるのですが。そういったある種の思い込みを持つ人達が、自分達のいろんな、自分が生きる意味みたいなものを探した時に、イスラム過激主義みたいなものに出会うということというのはあるんですね。ですから、もともと犯人がそういった過激的なISのシンパで、各国の当局の監視リストにあった人というケースももちろん、あります。そうかと言って、そういうのがまったくなくて、最近、急速にイスラム化した、過激化したという言い方をしますけれども、そういう人達は何かしらの闇の部分を持っていて、たまたまイスラム化しちゃったのだろうなというような感じの人。結構、そういった通り魔的な犯罪は昔からどこの国でもあって、かつてはちょっと極右的な人とかが多かったのですけれども、現在はそういった人達がイスラムの過激主義みたいなものに、自分の生きる、死ぬ意味みたいなものを見つけちゃったというような、としか思えない暴走みたいなタイプというのは、非常に増えていますね」秋元キャスター「イスラム国が犯行声明を出す時というのは、ちゃんと自分達で裏取りというか、確認がとれたうえで犯行声明を出しているのか?」黒井氏「いや、違います。ですから、たとえば、先月、フィリピンのカジノを襲撃した強盗事件があったのですけれど、それもイスラム国が、自分達のカリフ国の戦士がやったと発表して、あとから大恥をかいたのですけれども。とりあえず現在何かテロ的なものがあれば、自分達の戦士がやったのだという言い方をします。ただ、イランの国会議事堂を襲ったグループの場合はもともとそういったネットワークを持っていますので、イスラム国が発表をネットで出す時に、犯人の肉声であったり、映像であったりといったものを出しますので、これはつながりがあるということがわかりますね」反町キャスター「それと、先ほど、言われたイスラム勧誘組織、イギリスで2つあると」黒井氏「ではなくて、同じ組織が名前を変えているのですけれども」反町キャスター「イスラム勧誘組織なるものはISのイギリス支店みたいなのでなくて…」黒井氏「ではなくて、元から、アルカイダの頃からあるんですね」反町キャスター「何なのですか、それは一体?」黒井氏「それはそれぞれの…モスクみたいな、いわゆるモスクと言うか、中心的な導師と言うのですか、イスラム聖職者という人がいて、連なる信奉者みたいな若者がくるわけですね。アルカイダにも、そういったところからいっていましたし、そういったグループの何人か中心、コアになる人物がいて、そういう人達が実際、ですから、ネットワークはISのテロを見ても、もしくはISの方へ、シリアへ渡る義勇兵を見ても、あまりインターネットで感化されている人は少ないです。実際のところ、あとから見ると地元のそういったネットワークに、いわゆる肩をポンポンやられている人の方が圧倒的に多いですね。ですから、リアルワールドでもって勧誘されているというケースの方が、非常に多いということがありますね」反町キャスター「板橋さん、いかがですか?」板橋氏「実はほとんど、アルカイダの構造と同じなのですが、アルカイダも多重構造になっていて、ネットワーク構造になっているんですね。かつてはネットワーク、テロ組織のネットワークというのが各国に、いろいろな国にあるテロ組織、これがアルカイダ系のテロ組織なったわけですよ。なんとかのアルカイダ、なんとかのアルカイダと」反町キャスター「ありましたね、分家みたいなのが広がって」板橋氏「それが現在、なんとかのIS、なんとかIS支部と名乗っているんです、ほとんどが。衣替わりしているだけで…」反町キャスター「看板掛け替えただけですか?」板橋氏「そう。もともとあった組織ですよ、そもそもアルカイダの前から、組織として」反町キャスター「なるほど」板橋氏「実はISというのは、もともと聖戦イラクのアルカイダですね。ザルカーウィという人物がつくったわけですよ。たかだかIS、要するに、カリフ制イスラム国家になってから3年しか経っていないですよ、まだ。まったく同じ構造をつくっているわけですよ。バグダディがいて、中枢部、これだけはちょっとアルカイダと違うのだけれど、おそらくフセイン政権の残党でしょう。ここはほとんど何もやってない。外国から戦闘員を集めてきて内戦を展開している。それから、もともと地にあったテロ組織がアルカイダ系のテロ組織になり、現在はIS系のテロ組織として活動している、バグダディに忠誠を尽くす。3年前までは、なんとかのアルカイダと名乗っていたところが、バクダディに忠誠を尽くすと言っているわけですね。それから、アルカイダとちょっと違うのが帰還戦闘員、これが現在すごく多いわけですよ。アルカイダの時もいたのだけれど。これが特に先進諸国からもいっているんですよ。フランスやドイツ…、フランスやイギリスやアメリカなどからも参加しているわけですね。ここがちょっとアルカイダの時とは違うんです。それが戻っているわけです、現在。それと、もう1つはインターネット上などで、まったくISとは直接的には関係ないのだけれど、ISのいわゆる思想、あるいはISが発信するものに感化されて、自分でテロを考え、自分でテロをやってしまう。これがほとんど最近起こっているローンウルフ型ですよね。手口としては非常に単純です。ナイフやトラックや車を使う、決して入り組んだ作戦をしているわけではない、でも、彼らは彼らなりに1人で考え、1人で計画して実行するんですよ。それが現在…」反町キャスター「そうすると、板橋さん…」板橋氏「しかし、黒井さんが言われていた、私はパリの事件、ベルギーの事件、これもおそらく帰還戦闘員の仲間内だけでおそらくやっているものだと思うんですね。中枢部はほとんど関係してない…」反町キャスター「中央からの指示がない?」板橋氏「ない。それから、ほとんど起こっているテロ事件の多くはあとからの追認です、ほとんどが」反町キャスター「ISのホームページの映像とか、彼らは非常に高い技術を持ってホームページも強いメッセージ性を持って、人々の心に訴えかけるというような一般メディアはそう言うのだけれども。現在の話を聞いていると、決してそういうものではない?」板橋氏「それはイラク、シリアでつくる必要はないと、まったく。映像に長けた、あるいはネットに長けた人間が別にいる可能性がある。どこからでも発信できる」反町キャスター「それも、でも、影響力…、黒井さんは先ほど、そうではなくて、肩を叩くことによって、リアルな世界において、そういうことを言われることによって、たとえば、勧誘があったり、過激なモスクによって、人々がそういうテロに対して引っ張られていくのではないかという話があったのですが、そこはどう見ていますか?」板橋氏「そこはたとえば、イギリスとか、フランスで、現在たくさんテロが起こっていますね。これはイスラム系諸国からの移民がたくさんいるわけですよね。もう2世代、3世代になっているわけです。そこの不満というのが鬱積しているわけですよね。そこを刺激しているわけですよ」反町キャスター「ISがね?」板橋氏「ISが。アルカイダもそうだったのですけれども。確かに、黒井さんが言われた通り、アブハムザという有名な、現在、投獄されていますけれども、彼のモスクのもとに集まっていた連中が過激な行動をとっていた。ここはかなりマークされているわけですね。で、それだけではなくて、1番問題なのは現在、ネット上で感化される人間ですね。これは追っかけようがないですよ、実は。勝手にネットを見て、勝手に感化され、勝手に過激化していくわけです。ですから、いかに、たとえば、インテリジェンス機関が発達していても通信傍受も発生しない、だって1人でやるのだから」反町キャスター「一方的ですからね」板橋氏「はい。そうすると、発見もできない。たとえば、爆発物も入手しないわけですよ。自分でつくったり、あるいは車を使ったりするわけですね。そうすると、その過程で当局が発見することができないですね。ですから…」反町キャスター「全然、捕まえようがない?」板橋氏「ところが、ただ、全部見逃しているかというとそうではない。当局もかなりのテロ事件を阻止してきているんですよ、フランスも、イギリスも。でも、どうしても1人でやっていたり、ネット上で感化された人間の行動というのが見つけられないので起こってしまうということが現在、世界中で起こっているわけですね」秋元キャスター「日本でも今後、起きる可能性というのは?」板橋氏「私は起きる可能性はあると思っているんですよ。なぜかと言うと、ネット上で感化されるとなると、日本でもたった1人だけ、ネット上で感化された人間が出れば、起こる可能性があるわけですよ。既に北海道大学の学生が一昨年、ISに参加しようとしたことがありましたよね」反町キャスター「あった」板橋氏「素地はあるのだと思うんですね。それから、警察庁も数人の人間がネット上でISとやり取りしているのではないかということも言っているわけです。これから、オリンピックに向けて十分、可能性としては考えなければいけないことだと思いますけれども、こうやってネットで感化される。先ほど、もう1つ、黒井さんが言った、急速な過激化、これはこの間、フランスに行った時に当局と情報交換してきたのですが、報道されている通りニースの事件の犯人というのは1週間で過激化したそうです、たった1週間で。それから、ドイツの列車内の爆破未遂…、テロ未遂事件、これも1週間で過激化した」反町キャスター「ベースとしては、たとえば、生活に対する不満というのがあったうえでの過激化ということですよね?」板橋氏「そういうことですね」反町キャスター「テロを防ぐにはどうしたらいいのかと言ったら、情報とか、予防とか、ということより社会政策で防ぐしかないという結論になりますよね?貧富の格差の話…」板橋氏「そういうことですね。イギリスとフランスというのは、移民政策、まったく違ったわけですよ。イギリスの方は、どちらかと言うと、寛容政策をとったわけです、いろいろな国から受け入れて、それぞれの文化を尊重しなさいと。一方、フランスの方は同化政策をとってきた、フランス人になりなさい、フランス語を話しなさいと。でも、どちらもテロ起こっているんですよね。どちらも今となっては正しい政策ではなかったのかなと。当時としてはおそらくそれぞれの国情があって、それぞれの政策をとったのでしょうけれども、そのあとイギリスは、テロの温床になっていると言われたこともあるんですね。これは広報宣伝の基地になったり、資金源活動の基地になったりしていると、それは寛容政策のせいだと言われていたわけですけれども。現在となっては、どちらのアプローチもなかなか難しいな…」



カタールと9か国『断交』 イスラム社会に何が?
 
秋元キャスター「ここからは中東アラブ諸国とカタールの国交断絶について聞いていきます。今月5日、サウジアラビアがカタールとの国交断絶を発表しました。アラブ首長国連邦、バーレーン、イエメン、エジプト、モルディブ、リビア、モーリタニア、コモロと、同様にカタールとの国交断絶しまして、現在断絶している国は9か国となりました。その他にも、大使を本国に召還した国や、カタールとの外交関係を格下げした国もあるなど、イスラム社会の分断が進んでいるんです。一方で、イラン、トルコは孤立するカタールを支持していて、経済的な支援を行っているということです。佐々木さん、中東アラブ諸国などがカタールとの国交断絶に至った背景、何があるのでしょうか?」佐々木氏「これはどこまで信用していいかわからない。サウジアラビアが1100億ドルの兵器の購入を決めた、もちろん、1年間ではないのだけれども。それで、よしよしと、トランプさんは丸をつけてやったと。そうしたら、そのあとで、おい、カタールのアミールという王様、お前も来いよと言ったら、俺、行きたくねと、行かなかったんですよ。それで、ああ、そうかわかったと言って、このあとにこれが起こるんですよ。それでサウジが、冗談じゃねえ、お前、俺らの仲間の話を裏切って、イランとツーカーでやっているではないか、どういうことなのだ。お前らのところのアルジャジーラテレビはアラブの春の、革命の時にボロクソやったじゃねえかと。あれでカダフィもずっこけりゃ、チュニジアもいけば、エジフトだって吹っ飛んじゃったとどうしてくれるのだって、お前らは敵だと。なおかつイスラム国家に向かって資金をバンバン流してやったではねえかと、やったわけ。そうすると、エジプトというのは、サウジから金をもらいたいわけだから、もちろん、自分らがカタールの被害者でもあるけど。アラブ諸国連邦もサウジとベッタリだから、それはそうだと言って、結局はこういう色分けになったんですね」反町キャスター「黒岩さん、どう見ていますか?カタールを封じ込める…」黒井氏「イランとの関係があるのではないかという情報が流れたのがきっかけだと思うのですけれども。もちろん、湾岸協力会議の中でもともとサウジアラビアとカタールはいろいろな利害があって、長年のちょっとした軋轢はあったんですね。時々そういったことが起こるのですけれども。今回、急にこういったことが出てきたというのは、イランとの関係というのはおそらく誇張されています。それほど、イランとカタールがベッタリになるということはないので、口実だと思うんですね、今回は。ただ、そういったテロの支援みたいなことを口実にして動いた背景には、昨日、これにおそらく関連した動きで、サウジアラビアの皇太子がこれまでの皇太子が更迭されて、ナエフさんという人が。今度はサルマンの息子、国王の息子が皇太子になったと。この新しい皇太子の方が、いわゆる対イラン強硬派ですね。アメリカとも、特にトランプ系と仲いいのではないかと見られていますので、その動きがあるのかなと。前のナエフさんという人は、長いことテロ対策を担当していましたので、ある意味、そういった、カタールも含めて、いろんなところとの交渉に長けていた人物だったのですけれども。その人を排除して、イランが嫌いだというところで、今度の皇太子とトランプさんが波長が合っちゃったということで。何らかのハレーションのような出来事ではないかなと思うのですけれども、ちょっとこの先、どうなるかわからないですよね。現在いろんな国が、クウェートとか、乗り出して、仲介していますので、カタールがこのまま、敵対のままいくとはちょっと思えないですけれど」反町キャスター「これはよく言われる、サウジアラビアとイランの中東におけるアラブ国の覇権争いの1つだと思っていいのですか?」黒井氏「そういう側面もありますけれども、それだけではないですね。なにもカタールを血祭りにあげる必要はないです、そこまでいくと、おそらく何かしらの情報の捜査とか、確かに、カタールがイランとくっついたみたいなフェイクニュースも流れていますので、そういったちょっと誰が流したかはわからないですけれども、そういったものをおそらくサウジアラビアの新政権と言いますか、皇太子のグループが、それに乗っかっちゃったのだろうなと思うんですね」反町キャスター「テロ支援国家としてけしからんみたいなことを言うニュースもあるではないですか。ただ、たとえば、テロリストに対する資金提供と言うと、カタールの名前も出ているけれども、サウジの富豪の名前が必ず出てきますよね。その筋でお互い文句を言えた義理かという、そういうことでもないのですか?」黒井氏「ただ、サウジとか、カタールは国家としてテロ対策に動いていますので、それぞれ強力な情報機関がありますし、ISに対しては空爆もしていますので、サウジアラビアとカタールがテロの裏にいるということはないですね。ただ、イスラム運動に対しての、資金提供がありますので、流したあとに、そういった過激な人達の手に渡ってからということはあるので、そこはカタールであっても、サウジアラビアであっても似たような状況にあると言えると思いますね」佐々木氏「サウジアラビアに、ペルシャ湾岸サイドにアルカティーフという地域があるんですよ。そこの住民のほとんどがシーア派です。そこの連中は、ずっと差別されてきているから、当然、俺らにも同等の権利をくれみたいなことでデモをやったり、ごく少数のテロが起こったりする。そうすると、そのニュースをことさらに大きく発表するのはアルジャジーラであり、なおかつイランの放送局。そうすると、あの野郎となるわけですよ」反町キャスター「おもしろくないと?」佐々木氏「だけど、もっと大きなのはカタールを叩かなければダメだというわけですよ」反町キャスター「カタールはサウジから見たら、邪魔なのですか?」佐々木氏「だって、あんなところはもともと部族のところでしょう。国家なんてレベルではないわけですよ」反町キャスター「なるほどね」佐々木氏「それが、ガスが出ちゃって、えらい金持ちになって、サウジよりも金持ちなわけでしょう、現在は。だから、おもしろくない。かつサウジが面倒見ているバーレーンという国があるよね。これは本当にいつ水没するか、わからないような国なのだけれども、1930年代、油を掘っちゃって、もう油が出ない。サウジは自分ところの油、バーレーンにやって、あたかもバーレーンが現在でも石油産出国であるようにしているわけ。そのバーレーンとカタールの関係は悪いです。なぜかと言うと、バーレーンとカタールの間にある海のところに海底エネルギー資源があるわけですよ。そうすると、俺がかわいがっているヤツ、何で意地悪すんだというのが、サウジの感覚でもあるわけです。だから、先ほど、言ったように、テロに対する支援とか、あるいはアルジャジーラを使った反アラブ諸国的な報道、勝手なイランとツーカーになる、いろいろなことがモヤモヤになって、頭にきて冗談じゃねえとなる。ところが、問題はイランとの関係は、結構、大臣クラスがしょっちゅう行っていたのですよ」反町キャスター「サウジと?」佐々木氏「カタールから。それで、だから、その関係はないなんて言えないです。今度はイランの後ろにはロシアがいるわけですよ。それで、先ほど、ちょっと申し上げましたけども、カタールと仲のいいと言われているトルコが現在、軍隊を送ろうと言って、5000人まで送ってもいいと500人から600人、入っているみたいです」反町キャスター「カタールにですか?」佐々木氏「カタールに。カタールに、トルコが。それで現在、カタールにキュウリとか、トマトとか、菜っ葉を送っているのはイランとトルコからの支援物資ですよ。でも、支援物資と言って金を払うのだけれど、飛行機で送っているわけだから、船も陸もエンバーゴだから。そうすると、トルコがやるのだったら俺らも革命防衛隊を送っちゃうよと、一般人という名前で、イランが革命防衛隊の隊員をカタールに入れた場合、何になるかと言うと、あそこにはアメリカ軍がいる」反町キャスター「そうか」佐々木氏「アメリカとイランがぶつかる危険性があるわけですよ。だから、そうすると、サウジとカタールの、要するに、親戚同士の喧嘩が、国際的なコンフレクトの要因になり得ると」



アメリカの本音と波紋
 
秋元キャスター「トランプ大統領の『カタールは歴史的にテロ組織への資金提供国だ。資金提供をやめさせなければならない』という発言、佐々木さん、どう見ていますか?」反町キャスター「どうなのですか?現在の説明の、3枚ぐらい皮の上の話みたいな…」佐々木氏「おっしゃる通りでトランプ大統領は立派な方で、おっしゃる通りカタールはいろいろなところに金をくれる。これはクウェートもやったしサウジもやったし、湾岸の産油国で金持ちの連中はこうやって構えて、懐からこれを持って帰れと、貰った方は、ありがとうございますと帰るわけ。だから、あちらこちらで僕が留学した時、ジブーチーの、ジブーチーだったか、それから、エリテリア、それから、フィリピンの連中が行ってカダフィにゴマするわけ。皆、これを持って帰ったわけ。だから、それは一般論として、金持ちの湾岸の国はこれをやると、だから、カタールに限ったことではない。ただ、それがそのうちに今度は国家として、いわゆる国際戦略上にそれをやるようになるのだけれど、誰がそれをやれと言ったの?それをはっきり言わないよ」反町キャスター「なるほど」佐々木氏「要するに、お前、出してやれよと言ったヤツがいたわけで」反町キャスター「最初にね?」佐々木氏「最初に。それでサウジとか、カタールが出したのだけれど、サウジは、いや、俺、1100億ドル買うからさと言ったら、では、お前の分、黙っていてやる…」反町キャスター「板橋さん、このトランプ発言、どう見ていますか?」板橋氏「正しいことを言っているのではないですかね…」反町キャスター「それじゃ終わっていないでしょう、話が…」板橋氏「だって、歴史的にテロ組織に資金を提供していたということはたぶん正しい…」反町キャスター「ただ、トランプ大統領…、はい、どうぞ」板橋氏「カタールだけではないということですよね」反町キャスター「トランプ大統領がこれだけ中東に対するアメリカの覇権というのか、存在感を、オバマ大統領の時に減ったのをとり返そうとしているのならば、この言い分で中東の、アラブの国々の気持ちを引き寄せることができるのか?この言葉に立脚した中東政策で、あそこの地域におけるアメリカのプレゼンス、戻るような形になると思います?」板橋氏「でも、本当にアメリカのプレゼンスをもう1回、中東でとり返そうとしているのですかね」反町キャスター「なるほど」佐々木氏「これでカタールを相当、締め上げる。そうすると、それを見ている湾岸の国は皆ビビりますよ、やべーぞ。だから、言ってみれば、人身御供ですよ。運が悪ければ、国がなくなる。運が良ければ、首の皮1枚でつながる。そういう、僕は危険な状態だと思います」反町キャスター「カタールが?」佐々木氏「カタール」板橋氏「アメリカも現在、産油国、石油輸出国になっているんですよね。ロシアも石油輸出国ですよね。今度、イランも石油輸出、始めましたよね」反町キャスター「そうか、なるほどね」板橋氏「サウジの損益分岐点というのが50ドルだって言われているんですよね」反町キャスター「現在はるかに割っているではないですか?」板橋氏「なぜサウジが50ドルかと言うとサウジ国民の多くが依存しているわけではないですか。他の国はちゃんと別に仕事をしているので。だから、サウジの損益分岐点は高いですよね。要は、原油価格が下がっては困る国がたくさんありますね」反町キャスター「なるほどね。黒井さん、このトランプ発言、アメリカの中東政策との関連とかをどう…」黒井氏「トランプさんに関しては、おそらくこの間、訪問した時に、武器をたくさん買ってもらって上機嫌になって、今度の新しいグループ、サウジの中のグループから、こういう話を聞いて、そうだ、そうだと、それだけですね。今日、国務省は別個にコメントを出して、どうもカタールがテロ支援しているというのと、イランの仲というのは根拠がないのではないかということで、そういった根拠を出せというようなことを今度はサウジ側に言ったわけですね。どういうふうにしたらいいのか、要望リストみたいなものを出せというような声明を出して。国務省は非常に大人の対応をしているので、トランプさんもおそらく、これから側近から軌道修正を迫られ、彼が飲むかどうかは彼の性格次第だからわからないですけれども、よく物事を知らないで言ってしまったことに対して、あとから周りがなんとか軌道修正すると、いつものパターンに入っているのかなと思うんですね。ただ、歴史的なテロ資金の話で言うと、ただ、サウジが言っているのは、この話ではなく、どちらかと言うと、カタールの金持ちがテロ組織に誘拐されたら、バカみたいなお金を払ったから、けしからんみたいなことを言っているんです。ですから、どちらかと言うと、あまり本気ではないような気がします、この話に関しては」



佐々木良昭 21世紀研究所アナリストの提言 『イスラム教徒にスマイルを』
 
佐々木氏「ヨーロッパで、イスラム教徒のテロが頻発しているということは、要するに、差別ですよ。生活苦もあるけれども、差別が、怨嗟の表情で見るわけです。だから、我々は少なくとも我々に被害を与えない人に対しては微笑みかけ、困っていることはサポートしてあげるという姿勢が必要だと思います。それができるのは、世界の中の先進国では、日本人だけだと思います」



板橋功 公共政策調査会研究センター長の提言 『日本はテロのターゲット 東京2020に向けてテロ対策をしっかりと』
 
板橋氏「日本は既にテロのターゲットであると。東京2020に向けてテロ対策をしっかりとやらないといけないということですね。ISは、日本をターゲットだと名指しした声明をインターネット上で流しています。これから日本はオリンピックを控えて、ドンドン世界におけるプレゼンスが上がっていきます。現在、世界中の人達は、世界のアスリートは、東京を目指すと言っているわけですね。これからドンドン莫大な広報予算をかけて、日本、東京をPRすることになるわけです。そうすると、プレゼンスがドンドン上昇していくわけになります、いきます。すなわちテロのターゲットと言っていて、プレゼンスが上昇しているということは2020年までテロの脅威がドンドン上がり続けるということだと思います。それに対してしっかり対策をとるということが重要です」



軍事ジャーナリスト 黒井文太郎の提言 『"テロ"と"ヘイト"を許さぬこと』
 
黒井氏「常識ですけれど、テロとヘイトを許さぬことですね。テロは犯罪なので、テロリストは孤立化する。テロリストにも言い分があるみたいな話っていうのは背景としては理解が必要ですけれども、テロは犯罪なので必ず摘発、潰さなければいけないと。と同時に、ヘイトも犯罪であるという認識を持って、イスラム教徒に対しての、そういった差別的なことというのも絶対に許さないと。この両立をすることが1番重要かなと思うんですね」



◆ ◆
2017年6月26日(月)
 日欧EPA交渉大詰め 米国を動かす通商戦略


ゲスト
西川公也自由民主党日・EU等経済協定対策本部長 元農林水産大臣
伊藤元重学習院大学国際社会科学部教授
菅原淳一みずほ総合研究所政策調査部主席研究員




日本の通商戦略『転換点』 日EU・EPA交渉の焦点
 
秋元キャスター「安倍総理は来月、ドイツで開かれるG20サミットに合わせ、EU(欧州連合)代表との首脳会談を行い、EPA(経済連携協定)の交渉で大枠合意を目指す考えを示しています。今日、自民党は、農林水産物の保護などを盛り込んだ要望書を政府に提出しました。自民党のとりまとめを行われた西川元農水大臣に日本とEUのEPA交渉の焦点と通商戦略の展望について聞いていきます。日・EU、EPA交渉の主な経緯を見ていきます。EUとEPAの交渉が始まったのは2013年4月からでした。それから、およそ4年の歳月をかけて交渉が行われ、今月19日から大枠合意に向けて首席交渉官による協議が行われています。来月、行われる見通しの日・EU首脳会談で大枠合意となるか、というところなのですが。ちなみに、TPPの場合はこの大枠合意から大筋合意まで4年かかっているんです。西川さん、まず今回の大枠合意というのは、交渉においてどの程度まで話し合いが進んだところだと見ればいいのでしょうか?」西川議員「総理が先月、イタリアのシチリア島で、結局、EUの大統領、首脳と会って、日・EUの経済連携協定は非常にいいところまで進んでいると、だから、今後、合意できるまでお互いに、日本は日本の官僚にしっかりやってもらうと、そちらもお願いしますねと、こういう意見交換をしているわけですね。そこで安倍総理はこの日・EUの大枠合意は手の届く範囲にあると言うんですよね。そういうことを含めていながら、その背景があります。実際には7月6日、ベルギーのブリュッセルで会うことが想定されています。これはEUのトゥスク欧州議会議長とユンカー欧州委員会委員長と、この2人は大統領みたいな立場ですから、6日に会う可能性が非常に高い。そのあと7日、8日がハンブルグ、ドイツでG20があると、こういうことですね」反町キャスター「日程のことで西川さん、6、7、8と3日間と言いました。つまり、全部詰め切って、きれいに仕上がったものを総理にお渡ししてヨーロッパに行ってもらう可能性ももちろん、あるのだけれども、どうしてもトップで決めなくてはいけない積み残しの部分というのは、これは、総理、ヨーロッパで直にやってくださいという部分がいくつか残って行ってもらう可能性もあって、6日の第1ラウンドでトゥスク氏とか、ユンカー氏と話をして、そこでもう1回あたため直しましょうと、続きはハンブルグでやりましょうと。2段構えの日・EU交渉があり得る、そういう意味でよろしいのですか?」西川議員「いや、ここがちょっとよくわかりませんが、おそらくわざわざブリュッセルに行くわけですよね。行くということになると、まだ、総理と話していませんから、周りの皆さんとはよく詰めていますけれども、最終ご判断は総理がすると。そういうことで、私は7月6日が1番の山場かなと思っているんです」秋元キャスター「ちなみに、この大枠合意と大筋合意というのはどう違うのですか?」西川議員「どちらも同じですよ」反町キャスター「だけど、使い分けているように見えるから、そうすると、これは何か意味が違うのでは…」西川議員「いえ、同じですよ。大枠の方が緩いように皆、思いますけれども、大枠でも合意をするからには詰め切ってないといけないことがたくさんあります、それをなんとか出発までに、できれば今度の金曜日の30日までに、私どもは党としての方針を決めたいと、こうやっているんです」



 『大枠合意』実現への課題
 
秋元キャスター「伊藤さん、この大枠合意、大筋合意。大枠は手に届くところという話だったのですけれども…」伊藤教授「私はこの使い分け、よくわからないですね。ただ、これは相手次第もあるのではないかと思うんですよ。TPP、見ていた時にかなりアメリカも最後まで粘ったし、いろいろなことがあって。ですから、日本の方は日本の方で現在、ご説明も合ったようにある種の状況にきているのでしょうけれども、あとはEUの方でどこまで早く詰めたいのかということにも、たぶん依存するのだろうと思うんですね。いずれにしても、何らかの合意が出てきて、これだけ話題が出てきているということはかなりいいところまできているのはないかと期待はしているのですけれども」反町キャスター「菅原さん、TPPに比べ、今回の日・EUのEPAというのは非常に時間をかけていますよね。ここまでの仕上がり具合、どう見ていますか?」菅原氏「今回の大枠合意というのは、これは明確な定義はないのですが、明確に、政府は、昨年の秋口までは大筋合意と言っていたわけですね。それが年末になると大枠合意と言い換えたという。これは明らかに意図があって、英語で外務省のホームページを見ると、大枠合意の時は、アグリーメント・インプリンシプル、原則的に合意をしますと。今回のところは基本的に、基本的な要素に合意しますということが大枠合意ですと書いてあるんですね。ですから、ここは違っていて、今回の大枠合意というのは、大筋合意の中から、いくつか基本的でない要素が抜け落ちている、先送りされていると、ただし、協定の基本的な要素については政治的に合意するよというのが大枠合意という、そういう意味はあるということだと思うんですね」



 『関税』めぐる日欧の『攻防』
 
秋元キャスター「さて、来月の大枠合意に向けて交渉が行われている、日本とEUのEPAですけれど、西川さんが本部長を務められています、自民党、日・EU等経済協定対策本部は今日、政府に申し入れを行いました。その中で関税と農産品に関する部分ですけれども、EUから日本への輸出の7割が無税なのに対して、日本からEUへの輸出は7割が有税と、この不均衡な関税の状況の一掃と。日本の国益が損なわれないよう、豚肉・牛肉・乳製品・麦・甘味資源作物・海藻・木材などに対して国境措置を確保。さらに、EUへの輸出促進ということで豚肉・鶏肉・鶏卵・乳製品の関税撤廃と輸出解禁を求めているのですが。まず菅原さんに聞きますけれど、なぜEUから日本への7割が無税、日本からEUへの7割が有税という、この不均衡がなぜ起きているのでしょうか?」菅原氏「たぶん2つぐらい理由があるかなと思うのですけれど。1つは、歴史的な問題で、日本はGATT(関税および貿易に関する一般協定)にもあとから入っているという状況の中で、いろいろな自由化を進めてきたということで、EUに比べて、かなり自由化をしたということが1つ。もう1つは、日本は、鉱工業品については基本的に繊維とか、履物とか、一部を除くともう一切、関税はありませんから、それに比べてEUは日本の主要輸出品目である自動車とか、電子機器とか、電気機器とか、一般機械というところに関税が残っていますので。これは貿易額で見ていますから、タリフライン(関税率表)で見たものではなくて、貿易額で見ていますので、そうすると、日本が主に輸出しているものについては、EUはまだ関税を残しているということになるので、この比率がまったく正反対と…」反町キャスター「つまり、市場閉鎖性、そういう言葉が良いのか、悪いのかわからないですけれども、向こうの方が閉じているという意味でいいのですか?」菅原氏「そうですね」反町キャスター「少なくとも壁が高いような印象はありますよね?ただ、品目ですよね?おそらく。金額ではなくて…」菅原氏「そうですね、ええ」反町キャスター「そうですよね?」菅原氏「ええ、関税がかかっている金額で見ていると思います…」反町キャスター「あっ、金額ですか?そうすると、どう考えてもどちらの方がより市場として閉じている、この議論になりますか?」菅原氏「そうですね、これは…」反町キャスター「スタートラインですよ、スタートラインとして…」菅原氏「たぶんEUとだけではなくて、日本の場合、他のどの国と比べても、日本の方が身ぎれいなわけですね。要するに、鉱工業品について、先ほど申し上げたように、ほとんど関税がないわけですから、むしろ農林生産品に関税がかかっているだけという状況と言ってもいいぐらいですから。そうすると、どこの国との貿易で見ても、相手国は日本の鉱工業品に関税をかけていますから、こういった比率になるかどうかは別として日本の方がむしろ身ぎれいになっていると。だから、日本が通商交渉を何やっても苦労するのは、日本は身ぎれいだからカードがないというところにあるわけで。要するに、鉱工業品にも関税が残っていれば、相手国に自動車関税撤廃しなさい、日本も自動車関税撤廃するからというカードが切れるわけですけれど。日本はもう鉱工業品に関税がないわけですから、そうすると、切れるカードというのは、農林水産品とかになってしまうと。そこが交渉の難しさにつながっているということですよね」反町キャスター「菅原さんのお話、日本は身ぎれいだというこの話、どう感じますか?」西川議員「これは、ヨーロッパはルールづくりがうまかったと、私はこう思うんですよ。たとえば、農産物で肉、牛肉、それから豚肉、鶏肉、卵、チーズ等の乳製品、これは全部止まっていたわけですね、もう入れないと。牛肉だけはミラノの万博で、おかしいよと、入れてくれ、ということで、入れたんですよ、入れるようになった。だけど、残っている豚肉、鶏肉、鶏卵、乳製品は現在でも一切、売れないです」反町キャスター「ヨーロッパでは?」西川議員「ヨーロッパでは。それはおかしいだろうと。農水省はなぜ解禁を申し出ないのだ?それでやっと5月31日付で、日本の農水省はEUよ、解禁しろよと、こういうことを言ったんですよ。その時のルールづくりがいかにうまいかというのはカステラ…」反町キャスター「はあ?」西川議員「カステラには卵が入っているんですね」反町キャスター「入っています…」西川議員「だけど、卵は、向こうは解禁していませんから、だから、日本のカステラは売れない」秋元キャスター「加工していてもダメなのですか?」西川議員「ダメです。卵は、ヨーロッパは、日本の卵を入れないと決めていますから。今度、5月31日現在で、それを開けろと言いましたから、開けてくれると思います、私は。開ける時は厚生労働省に返事が返ってくるんです、行く時は農水省ですけれども。食品の安全とか…」反町キャスター「ヨーロッパが日本の鶏卵を入れない理由というのは、日本の卵は安全ではないからという建前で弾いているのですか?弾いていたのですか?」西川議員「いや、そうは言っていますが、日本の卵が1番安全です。生卵を食べるのは日本だけです。それはサルモネラ菌がないのが日本の卵だけですよ。だから、日本の和食を売る時は、日本の卵を一緒に持っていかなければダメです、ところが、入れないという仕組みでこれまで甘んじていたと我々も反省しています、そんなのがあると知らなかった。それで解禁を申し入れましたから、5月31日に終わっていますから、あとは向こうの返事待ち…」



 どうなる?『TPP』への余波
 
反町キャスター「具体的な品目でちょっと聞いていきたいのですけれど、いきなり本丸の話になっちゃうのかなと思いつつ、チーズ、こういうのがあります。日本市場の輸入品シェア、日本のチーズというのは85%が輸入に頼っています。その85%の輸入のうち、TPPの交渉参加国からの輸入が68%、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ等々。EU加盟国からの輸入が合計で30%。2つ足すとほぼ100%になってしまうのですけれども。この状況が、たとえば、日EUの今回行われている交渉の結果、どうなるのか?TPP交渉においては西川さん、チーズの関税の税率というのはそのまま維持になったのですよね?」西川議員「いや、譲っています。これは…」反町キャスター「多少は譲っているのですか?」西川議員「これはソフトとハードの両方がありまして、ハードは大幅に譲ったんです。ソフトチーズは譲らない」反町キャスター「譲らない、はい」西川議員「だから、ヨーロッパがハードチーズで攻めてくるのでしたら、どうぞということですが、ハードチーズで攻めてこないんですよ。ソフトチーズを攻めてきているんです」反町キャスター「それはどういうことなのですか?」西川議員「ヨーロッパには長い伝統でチーズづくりが非常に地域、地域に、私のところが世界一だというのがたくさんあるんですね」反町キャスター「自慢のチーズがね…」西川議員「それを日本に、どうぞ食べてくださいね、ときているんです。ハードチーズはだいたい均一です、均質ですから、そこはTPPでも我々は譲るものは譲ったんです」反町キャスター「なるほど」西川議員「うん、それでこれはアメリカにも、ニュージーランドにも、オーストラリアにも合意を得ているんですね。ところが、ヨーロッパはそちらではなくて、ソフトだよと言ってきているから、こちらも困っているんです」反町キャスター「それはヨーロッパ、EUからの求めに応じて…、ハードか、ソフトかというのは硬いチーズか、柔らかいチーズか、本当にそんな意味でいいのですか?」西川議員「そうです」反町キャスター「そうすると、ソフトチーズの方でEUに対して譲歩したりすると今度はTPP締結国の方から、なんだ、俺らのソフトチーズどうしてくれるのだよと…そういう玉突きでいろいろなことが発生する、そういう意味ですか?」西川議員「それもあります。1番は消費と生産なのですが、北海道でつくると2割が飲用です、いいですね、8割は加工にまわるんですよ。それで北海道以外はだいたい9割近くが飲用です、加工は1割しかやらない。なぜかと言いますと、加工にまわる時の価格というのはキログラム10円56銭、乗せていますけれども、結局それでもキログラムあたり30円の差があるんです」反町キャスター「安いということですか?」西川議員「そういうことです」反町キャスター「加工用の牛乳の方がお金にならない?」西川議員「そういうことです」反町キャスター「なるほど、はい」西川議員「だから、バターをつくる、チーズをつくる、そちらにいかずに、できれば、飲用で売りたいと、これが酪農家の心理ですね。しかし、北海道がつくっているヤツが攻めてこられたら、北海道以外でも飲用を売りたいという気持ちが出ないとも限りません、出るかもしれません」反町キャスター「それは、たとえば、EUからソフトチーズが大量に入ってくる、TPP締結国からハードチーズが安くなってドンドン入ってくるとなると北海道の酪農家はますます俺達は加工乳で勝負できないのだと、生乳で、飲んでもらう飲用乳で勝負しなくてはいけないということになると…」西川議員「本州にくるんです、本州に」反町キャスター「なるほど。飲用牛乳戦争が起きる、北海道対関東近郊…」西川議員「どうしてもそれは起こさせたくない。その中で加工にまわっても同じような所得が得られると、そういうことが我々の政策の大前提です。だから、今回も、守る、EUはチーズいらないと、我々は交渉させているんです」反町キャスター「どういうことですか?EUのチーズは拒否すべしという意味ですね?」西川議員「そうです」反町キャスター「それでまとまるのですか?」西川議員「いえ、わかりません」反町キャスター「西川さん、そういうふうに言うということは譲歩しなくてはいけないかもしれないから、ここはがんばりところだと聞こえます」西川議員「ああ、そうですか」反町キャスター「そうでもない?」西川議員「解釈はご自由に…」反町キャスター「なるほど」西川議員「私はどうしても、それは要らないと、しっかりがんばれと」反町キャスター「政府に対して?今日、岸田さんに対しても申し入れた部分ですか?」西川議員「同じです」反町キャスター「でも、ソフトとハードというチーズを2つのカテゴリーに分けての話だったのですけれど。たとえば、僕らの会議でもカマンベールとか種類がたくさんあるので、僕は知らないのだけれども…」西川議員「うん、そうですよ」反町キャスター「そうすると、たくさんの種類がある中、この種類、あの種類と細かく区分けして、ここはちょっと譲ってやるけれども、こちらはダメだよという、その細かい出し入れというのは可能なのですか?」西川議員「それは不可能ではないけれども、今は考えていません」反町キャスター「それは党として、要するに、政府にそれをやれとは絶対言えないですよね?やめろ、がんばれと言っている以上は…」西川議員「そうです」反町キャスター「そういうことですよね?」西川議員「その通りです」反町キャスター「たとえば、北海道の酪農農家を守るために彼らが加工乳から撤退して、生乳を持って首都圏に攻め上ってくるようなことが起きないようにするために…、日本の加工乳、日本の酪農家がつくるチーズというのはある程度、決められた銘柄のチーズをつくることが多いとすれば、それ以外のところは入れていいよと…」西川議員「うん」反町キャスター「日本のチーズというのは主にこういうものがあるから、これは入れてはダメだよという、そこの押し引きはあるのではないですか?」西川議員「はあ」反町キャスター「あまり細かい話で申し訳ないですけれども…」西川議員「いや、細かくないです。それは非常にいい指摘ですから、考えます」反町キャスター「またー、そんなこと言いながら、考えてくれないではないですか?」西川議員「ハハハハ…」反町キャスター「作戦としては、要するに、全部ダメというのが現在の状況ですよね?」西川議員「はい」反町キャスター「1ミリたりともチーズは入れるなと」西川議員「はい」反町キャスター「そうすると、そこから先の部分というのはこれから30日までに党の話があって、お土産を総理に持たせて向こうに行かせるとしても大目標としてまとめることを考えた時に、さあ、どうしますか、というのはまだこれから話し合う余地が出てくる、こういう理解でよろしいですか?」西川議員「総理が向こうの首脳と会うまでは直前まで調整をしてもらおうと思います」



 農業めぐる『守り』と『攻め』
 
菅原氏「過去の話をさせていただきますと、たとえば、日本とスイスはEPAを結んでいるのですけれど、スイスと結んでいる時もソフト、ハードという区分けではないですけれど、1部チーズは自由化、TPPより前に自由化しているわけですね。その時には先ほど、反町さんがおっしゃったように、品目ごとにグリューエルチーズはいい、エメンタールチーズはいいとか…」反町キャスター「それは先ほど、僕が言ったみたいに、要するに、日本でつくるチーズとつくらないチーズ、そこの違いがあるわけですね?」菅原氏「そうです。あと向こうが輸出したいものということがあると思うのですけれど。そういうことで、いわゆる原産地統制呼称という、向こうで言う、先ほど言った、地場のチーズというもので、名前が明確に決まっているものがあるので、このチーズはいいと、このチーズはいいと、このチーズはいいと全部列挙されているんです、日・EU、EPAには。いわゆる状況表という、関税をどこまで下げます、という約束表の最後にチーズの一覧表がついているんです、スイスとのEPAは」反町キャスター「要するに、その国のその土地、その土地の、ウチの名産品、地ビールみたいなもので、要するに、EU全体として、中で優先順位を決めているのですか?」菅原氏「いや、ですから、それはスイスの例ですよね」反町キャスター「スイスの例ですか」菅原氏「ですから、日・EUがどうなるかわからないですけれども、過去には、先ほど、反町さんがおっしゃったように、品目ごとに特定し、これはいいと決めた例もあるということですね」反町キャスター「それが落としどころになるかもしれないと、菅原さんも思っている?」菅原氏「いや、だから、そう譲歩するのがいいのかどうかというところのご判断だと思いますね」反町キャスター「では、譲歩することによってどういうダメージが、日本の農業、特に酪農にあると見ていますか?」菅原氏「チーズつくられているところ、特に地場のチーズというところが。日本で見ますと大規模につくっていらっしゃるというより、いわゆる地場と言うか、現在、6次産業化の中で、地元で少しずつつくっていると、農家レストランの隣でつくっているとか、そういう小さなところが、付加価値を高めようとして努力されているところだと思いますので。そういうとろで29.6%というような関税差が徐々にとは言え、なくなっていくのは、そういう人達がせっかく始めた、政府も支援してやっていたというところについてはちょっと勢いを削ぐかもしれないところがあると思う。マクロで見ればどれだけ影響あるかというのはアレですけれども…」反町キャスター「そこです」菅原氏「ミクロ的に見ると、そういう人達が一生懸命やろうとして、始めた人達の、勢いを削いでしまうかもしれないということですかね」反町キャスター「伊藤さん、ミクロのチーズ農家、確かに僕らも旅行に行ったりすると、その土地でしかつくれないチーズとか、白いプニュプニュしたのをつくっていたら、ああ、うまそうだなと思ったりもするわけですよ。一方で、大量消費をする都市の人間からするとねという、この部分があると思うのですけれども、どう感じますか?」伊藤教授「ヨーロッパがやったことが参考になると思うんです。ウルグアイラウンドで、ヨーロッパも農業自由化を求められた時に、それまでは結構高い関税で多くを守っていたのですけれども、それを補助金にシフトしていったんですね。全部ではないですけれども。ですから、おそらくチーズの種類によると思いますけれど、相当の補助金が積まれている部分もあるはずですよ」反町キャスター「ヨーロッパで?」伊藤教授「ええ。経済的に言えば、それでも関税で輸入制限するよりも補助金で守った方がいいという見方もあるわけで。特にマクロ的に大きな影響はないのだけど、ミクロ的にそこを守らなければいけないと理由がある時は、それを交渉で言うわけにはいきませんけれども、最後の落としどころとして、それは十分あり得ると思っています。要するに、大事なことは消費者側にとってみてはいろいろなものが入ってくるというメリットもあるわけですから、そういう生産者を守るということが非常に政治的に大事であるとしたら、手段はいろいろ用意しておいて、やるということだと思います」反町キャスター「都市部の大量消費に対して、要するに、変な言い方になりますけれど、地チーズをつくっている人達が日本で何万人いるのですかという話です。その人達を守るのか、東京だったら1300万人、それだけでいて、その人達が地チーズをつくっているわけではない、彼らにとっては安い良いチーズが入ってくる方がいい、この比較の議論にならないものなのですか?」伊藤教授「貿易自由化というのは、そういうことだろうと思うのですけれども、ただ、そこに政治的リアリティがあるから、あとはそのバランスをどう考えるかということで。大きな流れは自由貿易協定でやるべきであるというのは全体のいろいろなチーズに限らず、いろいろなものが輸入で入ってくること自体が、日本にメリットがあると考えているからやっているわけですよね」反町キャスター「いかがですか?西川さん」西川議員「うん、その通りなのですが、私の立場は、党の農林食料戦略調査会長です。農業を守る、農村社会をいかに元気づけるか、これが私に与えられた使命ですから。それは消費者も大事だけれども、地域を守るのも大事だと、こう考えていますので、是非、我々もしっかりがんばりますから応援してもらいたい…」秋元キャスター「引き続き話を聞いていきますが、自民党からの申し入れの中に、地理的表示(GI)の保護というものもあります。これは生産地の気候、風土や特別な生産方法などから評価されている産品の地理的表示を保護する制度ということで、日本国内では、日本酒、それから、特産松阪牛、EU域内ではカマンベールチーズ、ボルドーワインなどがそれぞれ登録されているのですけど、これをお互いに認め合おうということが協議されています。西川さん、EUとのEPAにおいて地理的表示の保護を求められるのはなぜなのでしょうか?」西川議員「私が最初に切り出した時は、なぜシャンパーニュ地方でつくったヤツだけがシャンパンなのですかとやったことがあるんですよ。ああ、そうですか、それだったら、ヨーロッパでつくる牛は全部、松坂牛と神戸牛と言っていいですかと切り返しがきましたね。それでお互いに…」反町キャスター「そんな切り返しをヨーロッパもするのですか?」西川議員「すぐやります。それで地理的表示をしっかりとやろうと、お互いにやろうと。これは話がつくと見ています」反町キャスター「なるほどね」西川議員「ただ、私が言いたいのは、どこに行っても、和牛というのが世界中、共通語になってしまった。和牛とは日本の牛だと思っていない人の方が多い。そこでアンガス牛であるとか、純粋な和牛ではなくても和牛という名前を使われていますので、今回は和牛というのは日本のものだと、こういうことを大々的に世界に向かって主張をしていきたい、させたいと思っています」反町キャスター「菅原さん、こういう土地の名前がウリになるというのは、日本とEU、お互いそういうもの持っている同士、独特のビジネスだと思ってよろしいのですか?」菅原氏「そうですね。地理的表示というのは旧大陸対新大陸の問題という言われ方するのですけれども。要するに、欧州、旧大陸から、アメリカとかに移民しているわけです。そうすると、欧州の人達はそこでつくっているのを移民してアメリカに行くと、ニューヨークもそうですけれども、要するに、ヨーロッパの、昔の都市の名前でその土地の名前があるわけですから、そこでつくっているものは、同じ名前になる可能性があるわけですよね。ヨーロッパでつくっているものと土地の名前が同じものですから。ところが、EU側がそれを地理的表示として登録していると、その名前で売ってはいけませんということになりますので、アメリカで同じ都市、地域の名前があって、そこで同じ製品をつくっていたとしたら、アメリカ国内でその名前では売ってはいけませんということになっちゃう」反町キャスター「なるほど」菅原氏「ですから、アメリカとか、新大陸側は、この地理的表示というのを厳しくすることには大反対ですね」反町キャスター「おもしろい、なるほど」菅原氏「EUは古い伝統があるのでその地域ごとの伝統に基づいて付加価値がつけられる。だから、普通のものよりも高く売れるので、地理的表示というのを優先事項にしてあるんです、交渉の優先事項にしてあるわけです。それに倣って日本も地理的表示というもので、各地域、付加価値を高めていこう、農業者の所得を増やしていこうと言うことで、現在38品目ですか、登録してきたという、そういう状況なので、まだ日本は発展途上ですけれど、どちらかと言うとEUと同じように地理的表示を使って付加価値を高めていく考え方で、それに対して、アメリカとかは反対しているという、どちらかと言うと、そういう立場にあるわけです」反町キャスター「そうすると、菅原さん、今回のこの地理的表示、日本とEUの間で、現在、話し合っているということは、普通、話し合うということはどちらかが得してどちらかが損するかもしれないから、駆け引きしているのかと思ったら、そうではなくて、この件に関してのみとは言いませんけれども、この件に関しては日本とEUというのはwin-winで、これで日本とEUがちゃんと握れば、今度、そのルールをアメリカに持っていく時に、たとえば、TPPだか、日米のFTAだかは知りませんけれども。ないしはヨーロッパとアメリカのTTIPとか、そういうことやる時に、我々は日本とはGIでやっているのだよ、地理的表示でやっているのだよということがアメリカに対する、ないしは中国に対する、他の国に対するカードになる。そういう意味でいいのですか?」菅原氏「そうですね。そこは、いわゆる総論賛成、各論反対というところで。要するに、地理的表示を守りましょう、お互いに守っていきましょうところについては日本とEUは利害が一致しているわけです。個別の何を守りましょうかという時になった時には…」反町キャスター「割れるの?」菅原氏「先ほどのシャンパンではないですけれど、昔の日本人はスパークリングワイン全部、シャンパンと呼んでいましたよね?」反町キャスター「呼んでいた…」菅原氏「だから、それと同じように、一般名称化しているEUの地理的表示というのがあるわけですよね。それを今さら守れと言われても、いや、これまで呼んでいたのにもう呼べないのという話になるので。結局どれを守りましょうかという時にEUはできるだけ多く、EUで使われているものは全部守ってくださいと、日本としては、それはもう日本では一般名称化しているようなものもあるから、1個1個、精査をしていきたいと。そういうところで、EU側からすると、日本がEUの地理的表示として受け入れてくれている品目数がまだまだ足りないということで現在、交渉しているという、そういうことです」反町キャスター「たとえば、カマンベールチーズなんてあるではないですか、コンビニに行くと。あれはフランスでつくられたカマンベールチーズなのですかと、こういう質問ですよね?」菅原氏「そう…、カマンベールは、カマンベール・ド・ノルマンディというのが商標、地理的表示なので、カマンベールだけだと問題になるかどうかはちょっと別ですけれども。要は、そういうような問題があるということです」反町キャスター「なるほど。伊藤さん、いかがですか?地理的表示は日本の農業の武器、日本の農業の攻めの1つのツールになるのですか?」伊藤教授「ええ、農業だけではなく、一般的に、このブランドの付加価値を上げていくというのは日本、ヨーロッパもそうなのでしょうけれど、いく方向だろうと思うんですよ。ですから、その手法としてこういう地理的表示を使うというのは非常に大事だと思いますよね。地理的表示ではないのですけれども、たとえば、ユニクロみたいな会社が、海外でジーンズ売る時に、これは日本製のデニムですよとか、日本のジッパーということが1つ付加価値を上げていけるわけですから、こういうことでできるのであれば、やると同時に、先ほどおっしゃったように、世界の中でヨーロッパと日本がこれで組めば、1つの方向性に対する影響力は出てくると思います。だから、あまりいちいち細かいところで揉めないで、是非これは進めていただきたいなと思いますよね」反町キャスター「では、伊藤さんの話だと、農業に限らずね…」伊藤教授「そうですね」反町キャスター「工業製品とか、衣類…」伊藤教授「伝統工芸とか…」反町キャスター「全部含めて、メイド・イン・ジャパンブランドと、広い意味で言うと」伊藤教授「そうですね」反町キャスター「要するに、ツールにすべきだと、こういう意味で言っている?」伊藤教授「そうですね。たとえば、伝統的な刃物だとか、あるいは布だとか、いっぱいありますよね。地域性があるような、藍染めだとか、そういうものは広げていくべきだと思います」



 どう攻める? 日本の製造業
 
秋元キャスター「ここからは日本からの輸出が期待されています、自動車、電子機器について聞いていきます。自民党からの申し入れでは、自動車や電子機器など日本企業がEU市場において韓国企業に劣後しているという日本経済界からの意見に留意が必要と書かれています。日本と韓国の自動車と電子機器の輸出額を比べてみますと、日本からEUへの車の輸出額はおよそ1.6兆円、韓国からはおよそ6457億円で、日本の輸出額の方が倍以上という状況ですけれども。一方、電子機器を見ますと日本からEUがおよそ1465億円、韓国からはおよそ2532億円で、こちらは韓国の方が、輸出額が大きくなっているんです。菅原さん、韓国は日本よりも先にEUとFTAを締結しているわけですけれども、このままだと自動車においても逆転される懸念があると見ていますか?」菅原氏「自動車関税、EUの関税、10%と非常に高い、先進国ではアメリカですら2.5%ということで散々揉めたわけですから、10%は非常に高いわけですよね。しかも、韓国の場合は、韓国EU、EPAで完全にゼロになっているということですので、実際に。為替の要因とか、いろいろあると思うのですけれども、韓国とEUのEPAが結ばれて以降、実態として見ると韓国車のEU域内におけるシェアというのは僅かですけれども伸びているんです、拡大しているんですよね。そういった意味で言っても、日本と韓国は相当熾烈な、世界各国の市場で競争しているわけですから、そういった意味で、このEUの10%というのはかなり大きな障壁と言っていいと思いますね」反町キャスター「西川さん、いかがですか?自動車」西川議員「これはアメリカ、今、出ましたように2.5%、25年でゼロにしようと約束したわけですね、2.5%ですよ。トラックは25%ですけれども、2.5%を25年かけるのかと横から言ったら、10%は100年間とこういう人もいるんです。しかし、そんなために交渉しているのではありませんから、できる限り短くしろと言っているんですね。それで結局、韓国がゼロを勝ちとる時に、ヨーロッパの車が入る時に関税がかかっていたんですよ」反町キャスター「韓国に?」西川議員「うん。韓国でかけていたんですね。だから、韓国でかけている関税もゼロにするから、あなた方もゼロにしてくださいね、とこういう交渉ができたんですね。日本は残念ながら、もうゼロですから、10%を何年でやるかと。だから、他とのバーターだとか、バランスとった連立方程式だとか、そういう話をしますけれども、私は自動車は自動車、農産物は農産物。これはこちらが譲ったから、こちらを譲れと、これはやりたくないですね。自動車は日本の自動車、横ばいですよ、微増です。日本はヨーロッパでつくりだしてしまっていますから、部品もドンドンつくっていますから、だから、あまり気にしなくてもいいと思うんですね。一方、この自動車部品、あるいは電気、電子機器、これは14%がかかっていますけれども、韓国はいち早くゼロ、昨年勝ちとった。そうすると、どういう現象が起きたかと言うと、ヨーロッパの空港にあるテレビはだいたいLGか、サムスンですね。日本は国策として弱電メーカーとあまりうまく連携がとれていなかったのですかね?ただ、日本はアメリカの弱電メーカーは日本が全部変わってとってしまったと、アメリカに弱電がなくなったのも事実ですから、歴史は繰り返していくと思うんですね」反町キャスター「なるほど、伊藤さん、いかがですか?」伊藤教授「そこは交渉、難しいですけれども。ただ、EU、例の、イギリスのEU離脱の問題があって、これまでは日本のメーカーは、特に自動車メーカーはイギリスに工場を置いて大陸に輸出していたわけですけれども、今後のEUとイギリスの関係にもよりますが、おそらく日本の企業は大陸に工場をつくっていく、増やしていくということを考えていると思うんですよね。それは、たとえば、フランスにトヨタの工場ができれば、フランスにとってメリットがあるもので。だから、部品の関税の引き下げと、現地に日本が出ていくことのメリット、どう向こうに感じてもらえるかというのは1つの大きなポイントだと思います」反町キャスター「それは、要するに、製品としての自動車の輸出という作戦ではなくて、ないしはパーツの輸出で、向こうで組み立てるとか…」伊藤教授「はい」反町キャスター「ないしはパーツを向こうで、現地調達率を上げるとか…」伊藤教授「はい」反町キャスター「そういう形で、相手に取り入る形が日本の、韓国とは違う日本の…」伊藤教授「いずれにしても、自動車は大きなものですから、全部輸出でというのはあり得ないですね。現地につくっていかなければいけないわけですけれども。これまで歴史上はイギリスが多かったわけですけれど、EUとイギリスの関係にもよりますけれど、積極的に投資していきますよというような姿勢を見せるということが重要だと思いますけれども」秋元キャスター「自民党の申し入れでは経済活動に関するルールをめぐる交渉についても触れられているんですね。まず医薬品・医療機器の知的財産権、データの流通に関するルールづくり、投資家と国との間の紛争解決手段ということですが。菅原さん、医薬品・医療機器の知的財産権というのがあるのですけれども、これは現在どういうことが課題になっているのでしょうか?」菅原氏「これはなかなか報道でも伝わってこないところなので、よくわからないですが。医療機器の知的財産というのが何を指すのかわからないのですけれど。医薬品の知的財産権というのは、おそらくTPPの時に議論になった、データ保護期間の問題、8年とか、12年とか、ここでもかなり議論した記憶がありますけれども、そういったことを指しているのかなと。医薬品に関してはEUの企業に非常に高い競争力がありますから、そことか。医療機器に関しては知的財産権のみならず、おそらく日本に輸入する時の、それこそ認証、基準規格の認証の問題とか、手続きの期間とか。日本の場合、医薬品や医療機器に関しては審査手続きが煩雑だとか、長過ぎるという批判はいつも受けていますから、そういったところも関わってきているのかなということですね。あとの2つについてはここは非常に日本とEUで揉めているところですので、冒頭の大枠か大筋かというところでありましたけれども、まったくわからないですけれど、報道を見ている限りなぜ大筋が大枠になったかという理由は、実はこの2つの意味が大きいのかと」反町キャスター「先ほど、言ったことですか?」菅原氏「はい、要するに、この2つについては、今回は合意できないのではないのかなと見ています。データの流通、これは個人情報保護についてEUが非常に厳しい規制を持っていますので、国境を越えて、そういったデータを自由に流出させるという問題。これは自由に流通できないと、企業にとっては非常に大きな影響がありますので、EUとの間で自由に流通させたいという思いはあるのですが、EU側は非常に厳しい個人情報保護の規制を持っていますので、これについてどうするかというところについてはなかなか、まだEU側と合意を見ることはできないのではないかと。それから、投資家と国との間の紛争解決はISDSということで、TPPでも相当、問題になりましたけれども。日本側は、このISDS、TPPと同じ制度ということなのですけれども、EU側は、このISDSに対する市民社会の反対も強いということで、最近は投資裁判所という制度を入れていまして、ISDSというのは問題が起こると問題が起きた時にパネリスト、いわゆる裁判官役の人を、その度に選んでやっていくという方式なのですけれども、EUが言っている投資裁判所方式というのは常設の裁判官がいて、しかも、2審制、上級審に判決に不服だと訴えることができると。そういった制度にしたいと言っていて、最近はEUのEPAですと、ベトナムとか、カナダとのEPA、FTAでは、この制度、ICSという投資裁判所制度を入れているんです。なので、日本としてもそれを入れたいということだと思うのですが、日本としてこれまでそういったことやったことがないということですので。これについてもちょっとまだ短期間では調整がつかないかなという気がしますので、この2つは先送りになるのではないのかと、どうなるかはわかりませんけれども、勝手に見ているということです」反町キャスター「医薬品と医療機器の知財の話なのですけれど、確かに日米で交渉している時も10年と5年、8年みたいな話だったような気もするのですけれど。だいたい8年という相場観というのは日本とアメリカとEUの間で、共通で話ができそうな話になっているのですか?」西川議員「これはデータ保護期間、それから、特許、この問題は日本とまったく、ほぼ同じですから問題ありません、これは合意できます。それから、医療機器の問題、これは日本は非常に進んでいますから、ここは世界で日本の機器を使ってもらえるように努力をしたい。それから、データのこれは流通になっていますね。1番、我々考えているのは、EUが協定をもし結んだとしたら、28か国に本当に指令が行き渡るのですかと心配しているのですよ。ウチは赤字だから、そう聞きませんよというのが出てくるかもしれません」反町キャスター「なるほど」西川議員「だから、それは無いようにしてくださいねと、これはうまくいけると見ています、私は。それから、ISDS、これはTPPの時、最後までTPPを決めるかどうかで我々、最後に揉んで、最後に落ち着いたのが生物製薬ですよ、これのデータ保護期間だったんですね。一方、ISDSは議員の中にはやらない方がいいという意見がいっぱいあったんです。しかし、私はフィリピンで日本の建設会社が工事をして、企業名も額も言えませんが、大きなものをつくった。つくった方が倒産した、国がそれを結局没収した。そうすると、日本の企業はどこを訴えればいいのですかと。こういうことが起きまして、ISDS、必要だと、ただ、濫訴はダメだと、ここだけは今回もいきたいと思います」反町キャスター「西川さん、今日、この日・EUのEPAの話、いろいろと聞いてきたのですが、たぶん日本とEUだけの話ではなくて、それぞれEUも日本とアメリカに向き合っていたり、日本の場合はTPP11だとか、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)だったり、いろんな通商政策がいっぱいあるうちの…、そもそも西川さんのところのアレでも、日・EUの経済協定等は等が入るという部分においては日・EUだけを専門に協議する舞台ではないのではないですか。そう考えると、今回の日本とEUの話がちゃんと進んだあと日本の通商政策というのはどちらに向いていくのか?もう1回、TPPの再構築に向かうのか?ないしはRCEPに向かうのか?次の一手はどちらに向いていくのですか?」西川議員「それはなかなか難しくて、私では答えられませんね」反町キャスター「うーん」西川議員「うん」反町キャスター「ただし、選択肢として、全部やるというわけにもいかないでしょう?全部やるのですか?」西川議員「いや、これは総理の判断ですから」反町キャスター「なるほど」西川議員「私どもが判断しても、総理がどう思うかですね。それと難しいですねと言うのは、現在その時期ではないと」反町キャスター「どういう意味ですか?それは」西川議員「いや、現在はもう…」反町キャスター「とりあえず日・EUを仕上げてから次の話ですか?」西川議員「大詰めの段階ですから、大詰めになるかどうかはわかりませんよ、それは、しかし、そういう状況の中で、次がどうこうとか、それは考えません。来月になったら考えたらいいと思います、今月は考えません」



 西川公也 自由民主党日・EU等経済協定対策本部長の提言 『攻めと守り 経済連携』
 
西川議員「攻めるところは攻める、守るところは守るということで、日本全体の経済の底上げができる、こういう経済連携にしたいと思っています」



 伊藤元重 学習院大学国際社会科学部教授の提言 『前進あるのみ』
 
伊藤教授「前進あるのみ、と答えたのですけれども。経済交渉の自転車理論というのがありまして、自転車は漕がないと倒れちゃうんですよ。だから、こういうものが、要するに、交渉がなくなってしまうとドンドン経済、腐っていっちゃうんです。ですから、もちろん、成果も大事ですけれども、大変だと思いますけれども、交渉を続けていただくこと自身が非常に重要だと思いますね。もちろん、日・EUのあとはいろいろな問題…」反町キャスター「そういうことですよね?」伊藤教授「ええ、…あると」西川教授「また、先生と相談しましょう…」



 菅原淳一 みずほ総合研究所政策調査部主席研究員の提言 『森をみる(全体戦略)』
 
菅原氏「私も伊藤先生とほぼ同じなのですけれども、森を見るという書き方をしました。以前も書いたような気がするのですけれども、要は、まさに最後の話で、この日・EU、EPAの合意を取っ掛かりとして年内にRCEPをまとめる、TPP11も進めるという方向に進めていかなければいけないと。なので、日・EUだけを見る、それから、日・EUの中でチーズとか、個別品目を見る、木を見るというのはこれが非常に重要なことなのですけれども、それと同時に、全体戦略、森も見て進めていかなければいけないということだと思います」